[市況]
1日のNYDowは小幅上昇し、NASDAQは小幅下落しました。2日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付きました。高値と安値の差は50円と終日膠着した値動きとなり、最終的に10円高で終わりました。日経平均は5円高で引け、出来高は15.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、250万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡がりました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
1日の米国市場では、10月のISM製造業景況感指数は前月比2.5ポイント上昇の56.9で市場予想の54.3を上回る内容となったほか、9月の建設支出も事前予想に反して増加するなど、景況感が改善し、朝方は高く始まりました。その後は、中間選挙やFOMCなど重要なイベントを控えて目先の利益確定売りに押され徐々値を下げる展開となりましたが、小幅ながら上昇を保って取引を終えました。
2日の日本市場では、FOMCの結果発表と米中間選挙を米国時間の3日に控え、様子見ムードが強いく、商いは低調でした。一日を通して前日終値を挟む水準で方向感に乏しい展開となりました。4-9月期の企業決算を手掛かりとした個別銘柄の売買が交錯したことも膠着相場の一因となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-13.2%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-8.1%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が16.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.2ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、10月のISM製造業景況感指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のISM非製造業景況感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、10月の消費者態度指数、9月米耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産指数、などは予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、9月の新築住宅販売件数は2か月連続のプラスとなり、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、9月の中古住宅販売件数は予想以上でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.7%上昇したものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州銀行の金融不安は落ち着いたようです。しかし、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきたように、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は10月28日 0.2869% → 10月29日 0.2859% → 11月01日 0.2859%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は1日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.17ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.9、PBRが1.06、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.3%となり、日経平均は240円の割安で、割安幅がやや縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-260円 ~ -60の間で推移しています。日本市場は、円高一服ながらドルベースでも米国市場より弱い動きが拡大しました。今夜から明日にかけての米国市場は、中間選挙や10月のISM非製造業景気指数、FOMCの追加金融政策の規模と内容が注目されそうです。9-10月に発表された米国の経済指標は、追加金融緩和期待から、予想以下でも売り材料にはなりにくい状況が続いていていましたが、ここにきて変化が見られます。米国市場は中期上昇トレンドにありますが、短期トレンドは青信号の維持が微妙となりトレンドは横ばいになってきました。一方、日経平均は三角持ち合いを下離れ、冴えない動きとなっています。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、米国市場は高値圏でのもみ合い状態に在り、上昇が続くかどうか微妙な段階です。この先NYDowが25日線を割るか否かを注視することが必要です。ちなみに、現在の25日線乖離率は+0.9%で、まだ100ドル程度の余裕があります。日経平均の短期トレンドは赤信号が続いており、一目衡表の雲を下回りました。ボリンジャーバンドが拡がり始め、チャートとしては、一段と良くない形になっていますが、騰落レシオやサイコロジカルラインが売られ過ぎを示すなど、反転も近かそうです。中間選挙結果とFOMC声明が出た後の、休日明けの相場は一段安後に反転か、反転して始まるか、いずれにせよ、大きく動き出しそうです。
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