[市況]
20日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比270円安で寄り付き、前場は350円安まで売られる場面もありましたが、後場にかけて上昇に転じ、結局270円高で引けました。日経平均は207円高でした。寄付き前の外人は1970万株の売り越しでしたが、出来高は24.9億株と増加し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大しました。個別銘柄は"売り"が有利な状況です。
20日の米国株式市場では、週間の新規失業保険申請件数が54万件台に急増し、市場予想を大幅に上回り、11月の製造業景気指数はマイナス39.3と前月から悪化し、1990年10月以来の低水準になったことで、米景気の悪化を再確認したことが株価の重しになり、金融株を中心に売りが膨らみ、原油が急落したことでエネルギー株も急落し、株価指数を押し下げました。
21日の日本市場では、米市場が雇用情勢の悪化などで大幅安となったことを嫌気し、売りが先行しましたが、シティグループの再編観測が米メディア報道で伝わったことで、今晩の米株高への期待が高まり、買い戻しが膨らんだようです。日経平均は3日間で800円強下落していた反動もあり、自律反発狙いの買いも入りやく、円が朝方に比べて伸び悩んだうえ、アジア株が総じて上昇したことも支援要因となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は上昇したものの、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-70.2%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率は-36.5%とマイナス幅が縮小しましたが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度はこのところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により縮小ぎみですが、今日は0ポイントとなり割安ではなくなりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.2ポイント上回るレベルとなり、割高に転換しました。今日は日米市場の大きな転換点だった可能性があります。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。Nasdaqも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在り、年初来安値を更新しました。米国市場の短期トレンドは、"赤信号"で、中期トレンドも、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は雇用悪化と、景気に対する悪材料が出て、大きく下落しました。市場テーマである①通貨危機、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①はIMFの融資が進みつつあり、落着いてきたようですがウォン安が進んでいます。②については金融サミットでは具体策は出ず、不良債権買い取りは無くなり、ビッグ3救済はもたつき、さらに、急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりません。③についても、12月の米投資銀行の決算を控え、ヘッジファンドの破綻解消など、まだ懸念があります。全体的には、依然として、悪材料が勝っているようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、20日も大幅下落して年初来安値を更新しました。(11月の年初来安値6.4ドルに対して現在4.7ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-33.2%で、予想PERは13.2、PBRは0.92となりました。PBRが再び1.0を大きく割ってきましたので、長期投資の視点では買い場が到来したようです。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの下落にも関わらず上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+9.8%(800円の割高)とプラス幅が大幅拡大しました。プレミアム値はここ2週間は+30~+800の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線、9日線の下にあり、下降トレンドに変化はあまりありませんが、ボリンジャーバンドの-2σに安値でタッチしました。日経平均は今夜の米国市場の大幅高を織り込んでしまったようですので、裏切られると週初は大幅下げとなりそうです。NY Dowはボリンジャーバンドの-3σ近くまで下げましたので、一旦反発も期待出来そうですが、急速にバンド幅が開きだしましたので、下げ止まったとはいえません。日経平均も騰落レシオや高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差からはまだ安値圏とは言えませんので、今日の上昇で目先の底打ちとは言えそうもありません。
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