[市況]
11日のNY DowとNASDAQが下落したことを受けて、日経平均先物は前日比240円安で寄り付きましたが、前場は一時同値まで戻す場面もありました。後場はもみ合いとなり、結局40円安で引けました。日経平均は113円安でした。寄付き前の外人は1510万株の売り越しで、出来高は20.8億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が縮小しましたが、個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
11日の米国株式市場では、スターバックスの7-9月期決算が市場予想を下回り、住宅建設大手のトール・ブラザーズの売上高が大幅減となり、デルやHPの目標株価が引き下げられ、資金不足懸念のあるGMなど自動車株への売りも続き、米景気懸念が改めて強まりNY Dowは一時、300ドル超下落しました。午後に政府系住宅公社の大規模な住宅ローン見直し策が発表され、NY Dowは下げ幅を縮める場面がありましたが、景気への不安は根強く、買いは続きませんでした。
12日の日本市場では、米市場が続落し、これを受けてアジア市場も下落たため、主力の輸出関連株中心に売られました。ただ、週末に開かれる金融サミットでの合意内容を見たいとの期待や、空売り残高情報の公表を開始したことで、積極的な売りも限られたようです。
[テクニカル視点]
日経平均は下落し、75日線、25日線、9日線の下に在りますので、短期トレンドは"赤信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-54.9%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率は-31.2%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度はこのところの日本企業のPERの悪化により縮小ぎみですが、今日は1.0ポイントに拡大しました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.4ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は縮小しました。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqも、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは、"赤信号"で、中期トレンドも、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は昨日も企業業績と景気の悪化を嫌気して下落しました。市場テーマである①通貨危機、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①には改善が見られ、②についても各国の景気対策が徐々に出始め、金融サミットが近づくなど、期待感も有りますが、急激な景気悪化を示すデータが相次ぎ懸念材料が勝ってきたようです。③はとりあえず、落着いていますが、12月の米投資銀行の決算に向けて再燃の可能性は否定できません。全体的には弱含みとなってきたようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、11日も下落し年初来安値を更新しました。(11月の年初来安値11.2ドルに対して現在10.8ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-30.8%で、予想PERは14.7、PBRは1.03となりました。
[今後の見通し]
日本市場は、NY Dowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+4.8%(410円の割高)とプラス幅が拡大しました。プレミアム値はここ2週間は-350~+460の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、かろうじて、25日線の上に在るものの、9日線の下にあります。日経平均は下落したものの米国市場と比べ、相対的には強い動きが続いています。チャート的には9600円を抜き逆三尊の買いサインが出る形となのか、又は11月7日の安値8260を割るか、どちらに行くかに注目したいと思います。ちなみに米国市場は11月7日の安値を割ってしまいましたので、下に行く可能性が高まりました。一方、現物取引の出来高は低水準で、VIX (恐怖指数)は高水準のままです。市場はまだまだ、波乱が有ると読んでいるようですので、先物主導の乱高下は当面続きそうです。
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