[ファンダメンタルの現状認識]
シティの不良資産の損失を政府が保証し、FRBが住宅ローン、自動車ローンやクレジットカードローンの資産担保証券を担保とした資金供給を矢継ぎ早に発表したことで、先週は過度な金融不安が後退し、株価は上昇しました。しかし、まだ、ビッグ3支援は流動的ですし、12月中旬に投資銀行の決算発表を控えており、懸念材料はまだまだ存在します。。加えて、世界同時不況の長期化と、不動産価格の下げ傾向は長期化の様相を呈しています。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は0.2ポイントとなりました。先週と比べ0.1ポイント拡大しました。200日線乖離率差では、0.7ポイント割安に転換しました。先週比1.8ポイント割安に変化しました。日本市場の米国市場と比べた売られ過ぎの状態はほぼ無くなってきました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場が政府とFRBによる金融対策が出て上昇したことで、日本市場も上昇しました。
②第三四半期決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-34.7%の減益予想に悪化しました。先週も1.5ポイント悪化しました。
③長期金利は米国で大きく下がり、日米の金利差は1.8%から1.6%となり、為替は94-95円台と円高気味に推移しました。今週も円高方向の波乱が予想されます。
④11月初旬に、OECDによる日米の2009年のGDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%%となり、米国は-0.9%となりましたので、この面では日本市場にとって0.8ポイント強気材料となりました。
⑤外人は11月3週は売り越しでしたが、11月4週も売り越だった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①が強気材料で⑤が弱気材料でした。今週も①の米国市場動向と為替がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-31.1%となり先週と比較してマイナス幅は5.4ポイント縮小し、総合乖離率は-49.2%となりマイナス幅は21.0ポイント縮小しましたが、3つともマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"のままです。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので短期的には"青信号"です。米国市場はNY Dowは25日線、9日線の上に在ります。,Nasdaqは9日線の上に在りますが、25日線の下に在りますので、"黄信号"です。
[今週の見通し]
先週の米国市場は政府、FRBの金融対策発表でNY Dowは25日線まで戻しました。今週はファンダメンタル面ではビッグ3への支援問題や重要経済指標の内容と各国の政策への期待感の高まりがポイントになりそうです。そのような中、テクニカルには、Nasdaqが25日線を抜けるかどうか、TOPIXが25日線をぬけるかどうかがポイントになりそうです。さらに、ここからの上昇には、外人の買い越しへの転換も必要と思われます。
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