[ファンダメンタルの現状認識]
企業業績の落ち込み、経済指標の悪化が顕在化してきましたが、銀行間の取引は落着いてきましたので、為替も落ち着きを取り戻しています。ただ、世界同時不況の長期化と、不動産価格の下げ止まり感はさらに、遠のいていくようですので、公的資金の投入対策に加え、強力な景気対策を市場は待ち望んでいるようです。そのような中で、2009年のGDP伸率予測値考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は先週と比べ1.5ポイント縮小し、+1.0ポイント日本市場が割安となりました。200日線乖離率差では、先週比割安度は3.6ポイント縮小し、5.1ポイント割安となりました。先週は、日本市場の米国市場と比べた売られ過ぎの状態は緩和しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在1.5%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は新大統領期待で買われた後、一服しました。
②第三四半期決算発表の結果、日経225採用銘柄の今期予想増益率は世界景気の下ぶれにより7月中旬の-2.3%から-31.0%の減益予想に悪化しました。先週も11.8ポイント悪化しました。
③長期金利は米国が上昇し、日米の金利差は2.3%から2.2%に縮小しましたが、為替は97円から98円と落着いた動きでした。今週は円高方向の波乱が予想されます。
④10月初旬に、OECDによる日米の2009年のGDP伸び率予測値が修正され日本が1.5%%となり、米国は1.1%となりましたので、この面では日本市場にとって0.4ポイント強き材料となりましが、OECD合計は1.7%と世界的にも景気減速が予想されています。
⑤外人は10月5週は売り越しでしたが、11月1週も売り越だった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は②③⑤が弱気材料でした。今週も①の米国市場動向と⑤の外人動向がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は-32.4%となり先週と比較してマイナス幅は0.6ポイント縮小し、総合乖離率は-62.2%となりマイナス幅は6.1ポイント縮小しましが、3つともマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"のままです。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在りますので短期的には"黄信号"でが、米国市場はNY Dow,Nasdaqとも25日線、9日線の下に在り"赤信号"です。
[今週の見通し]
先週の米国市場は週末に戻したものの、まだNY Dow,Nasdaqとも25日線と9日線の下に在りますが、VIX恐怖指数は低下しつつあり、金融システムの混乱も落着いていますので、ここからの一段安も考えにくいところです。一方、株価は企業業績や経済指標悪化に敏感に反応してきましたが、そろそろ、株価に織り込みつつあるようです。今週も新しい材料が出ないと、方向感のない乱高下が予想されます。チャート的には9600円を抜けば逆三尊の買いサインが出る形となりますので、この点も頭に入れておく必要が有りそうです。
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