[市況]
31日から3日のNY DowとNASDAQが上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比560円高で寄り付き、前場は430円高まで下げましたが、後場に切り返し、結局650円高で引けました。日経平均は537円高で、寄付き前の外人は1010万株の売り越しで、出来高は22.6億株と低水準でしたが、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
3日の米国株式市場では、10月のISM指数は26年ぶりの低水準で、市場予想も大幅に下回ったものの、米景気悪化は相場に織り込まれつつあることから影響は限定的でした。米大統領選の投票や10月雇用統計など重要な経済指標の発表が今週は続くため、市場は様子見気分が強まり方向感に乏しい展開となりました。
4日の日本市場では、米市場が底堅く推移したことや、円安に振れたことが買い安心感となり、輸出関連株の買いにつながりました。政府の経済対策や株の空売り規制、日銀による利下げなど政策が出そろったことも、相場の支援要因になったようです。公的年金の買い観測も聞かれ、後場に一段高となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は大幅上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在りますので、短期トレンドは"黄信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-52.1%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率は-28.6%とマイナス幅が縮小しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.5ポイントに縮小しましたが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.3ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は大幅に縮小しました。
NY Dowは、上昇し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を抜きました。終り値で9387を抜けばWボトム達成となります。Nasdaqは、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは"黄信号"ですが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は大統領選挙を控え、経済指標の悪化にも反応薄となり、市場心理は改善方向にあるようです。市場テーマである①IMFは赤字国の通貨危機を救えるか、②世界的リセッションの対策は出るのか、③株安で新たな金融危機は来ないのか?という課題のうち①、③に改善が見られるので、信用の投売りや、ヘッジファンドの解約売りを始め、投資家の現金回帰は一旦は収まったようですが、一方で、積極的に買い進むエネルギーも不足しているようです。中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。ただ、超長期で見れば日経平均のPBRの1倍割れは明らかに買い場到来を意味していると思われます。ここからも、引き続き、日本の主要企業の中間決算と米国の経済指標に関心が集まるものと思います。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、3日は上昇しました。(10月の年初来安値11.7ドルに対して現在14.0ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-25.5%で、予想PERは14.1、PBRは1.07となりました。
[今後の見通し]
日本市場はNY Dowの上昇分に先週末の350円分の売られ過ぎ分が加味され大幅に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.7%(150円の割高)とプラスに転換しました。プレミアム値はここ2週間は-650~+360の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線の下に在りますが、9日線の上にあります。VIX (恐怖指数)は徐々に下げつつあるものの、依然として、高い位置にありますので、市場はまだ波乱が有り得ると考えているようです。一方、米国市場は経済指標の悪化を織り込みつつあるようですので、NY Dowが13日につけた9378ドルを終り値で抜けばWボトム達成となり、目先上昇材料となりそうです。この点が実現すれば、日本市場も為替が落着きを見せていますので、目先の上昇が期待できます。
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