[市況]
4日のNY DowとNASDAQが大幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比330円高で寄り付きましたが、前場は方向感のない展開でしたが、後場に、米大統領決定で材料で尽くし感から、一時140円高まで売られましたが、引けにかけ買われ、結局420円高で引けました。日経平均は406円高で、寄付き前の外人は590万株の買い越しで、出来高は28.7億株と高水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
4日の米国株式市場では、短期金融市場の落ち着きと、オーストラリア準備銀行の0.75%金利引き下げや6日の英中銀やECBの大幅利下げ期待で日本市場、欧州株式市場が大幅高となった流れを引き継ぎ、株価指数は大幅高となりました。米メディアが、米財務省は銀行や保険会社以外の金融機関にも資本注入を検討していると報じたことも支援材料となりました。
5日の日本市場では、米市場の上昇や円が対ユーロやドルで下落したことを受け、輸出関連などが買われました。オバマ米新大統領の経済運営方針への期待も相場全般を押し上げ、東証1部の約9割の銘柄が上昇しました。
[テクニカル視点]
日経平均は大幅上昇し、75日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を抜きましたので、短期トレンドは"青信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-39.7%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率は-25.3%とマイナス幅が縮小しましたが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.1ポイントに縮小しましたが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.9ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は縮小しました。
NY Dowは、上昇し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線、25日線の上に在り、終り値で9387を抜きWボトム達成となりました。Nasdaqは、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線、25日線の上に在ります。米国市場の短期トレンドは"青信号"ですが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は大統領選挙を控え、先進各国の協調利下げを歓迎し、市場心理は改善しました。市場テーマである①IMFは赤字国の通貨危機を救えるか、②世界的リセッションの対策は出るのか、③株安で新たな金融危機は来ないのか?という課題のうち①、③に改善が見られるので、信用の投売りや、ヘッジファンドの解約売りを始め、投資家の現金回帰は一旦は収まったようです。②についても民主党勝利で対策が出やすくなったとの楽観的見方が出て、積極的に買い進むエネルギーが出てきたようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。ここからも、引き続き、日本の主要企業の中間決算と米国の経済指標に関心が集まるものと思います。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、4日は上昇しました。(10月の年初来安値11.7ドルに対して現在14.7ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-25.5%で、予想PERは14.7、PBRは1.12となりました。
[今後の見通し]
日本市場はNY Dowに連動して大幅に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+2.2%(190円の割高)とプラス幅が若干拡大しました。プレミアム値はここ2週間は-650~+360の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、9日線の上に在り、25日線を抜き、10/15日の高値も抜きましたので短期上昇トレンド転換となりました。NY Dowも13日につけた9378ドルを終り値で抜きましたのでWボトム達成となり、短期上昇トレンド転換となりました。VIX (恐怖指数)も低下傾向が顕著となってきましたので、米市場も落着きだしたようです。日米とも、利食い売りが出易い水準ですが、ボリンジャーバンド2σ(10500円近辺)までの上昇が期待できそうです。
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