[市況]
5日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は前日比510円安で寄り付き、前場はその水準で推移しましたが、後場は、軟調な展開となり、結局720円安で引けました。日経平均は622円安でした。寄付き前の外人は1500万株の売り越しで、出来高は23.8億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラス幅が縮小しましが、個別銘柄は"買い"が有利な状況です。
5日の米国株式市場では、10月の全米雇用リポートで雇用が市場予想以上に減り、10月のISM非製造業景況感指数も市場予想以上に低下したため、米景気懸念が改めて強まり売りが出た。ここ数日、大幅に上昇していたこともあり、引けにかけて金融株を中心に売りが膨らみ、株価指数はは下げ幅を広げました。
6日の日本市場では、米市場が景気の悪化懸念などを背景に急反落したことを嫌気し、幅広い銘柄が下落しました。日本市場では投資家の関心が企業業績へ向かい、為替が円高方向へ振れたこともあり、主力の輸出関連株が売られました。日経平均はここ数日で大幅に上昇していた反動から、売りも出やすかったようです。
[テクニカル視点]
日経平均は大幅に下落し、75日線の下に在り、9日線の上に在りますが、25日線を割りましたので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-55.2%とマイナス幅は拡大し、200日線との乖離率は-30.1%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は1.2ポイントに拡大しました。市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.4ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は拡大しました。
NY Dowは、大幅下落し、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在り、、25日線を割りました。Nasdaqも、75日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を割りました。米国市場の短期トレンドは"黄信号"となり、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は大統領選挙を通過したことで、材料で尽くしで一服したようです。市場テーマである①IMFは赤字国の通貨危機を救えるか、②世界的リセッションの対策は出るのか、③株安で新たな金融危機は来ないのか?という課題のうち①、③に改善が見られるので、信用の投売りや、ヘッジファンドの解約売りを始め、投資家の現金回帰は一旦は収まったようです。しかし、②については、早急に大型の対策が出てこないと、市場は、トヨタの中間決算の衝撃的な内容などから、再び、企業業績と経済指標に敏感に反応し出しす可能性がでてきたようです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。ここからも、引き続き、日本の主要企業の中間決算と米国の経済指標に関心が集まるものと思います。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、5日は大幅に下落しました。(10月の年初来安値11.7ドルに対して現在12.6ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-26.5%で、予想PERは14.1、PBRは1.06となりました。
[今後の見通し]
日本市場はNY Dowに連動して大幅に下落しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.1%(90円の割高)とプラス幅が縮小しました。プレミアム値はここ2週間は-650~+360の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、9日線の上に在りますが、25日線を割りました。日米とも、利食い売りが出易い水準でしたので、ここで一服も仕方のないところですが、もう少しで9日線を割ってしまうところまで下げ、VIX (恐怖指数)も再び上昇しましたので、これを割ってしまうと再び弱気が優勢となりそうです。ここで踏みとどまれば、まだ、ボリンジャーバンド2σ(10500円近辺)までの上昇も期待できそうです。目先、正念場となったようです。
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