[市況]
20日のNYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。21日の日経平均先物は、前日50円高で寄り付き、前場は30円高から60円高の間で小動きでした。後場は一段高となり、最終的に120円高で終わりました。日経平均は154円高で引け、出来高は16.1億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、730万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮まりました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
20日の米国市場では、アナリストが投資判断を引き下げたアメックスが3%以上下落したことや、最近の相場上昇を受けた利益確定売りが出て、NYDowの重荷になりました。ただ、クリスマス休暇で市場参加者が少ないうえ、相場全体を動かす新規材料が乏しく、方向感に欠ける展開でした。
21日の日本市場では、朝方は韓国軍が前日実施した射撃訓練後に北朝鮮側から目立った動きが無かったことで、朝鮮半島情勢の過度な警戒感が和らき、上昇して始まりました。後場は中国高官が欧州債務問題への支援姿勢を示したことが好感され、輸出関連を中心に買われ、一段高となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上に在り、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は+14.1%とプラス幅が拡がりました。200日線との乖離率は+4.6%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の上に在り、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.5ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.6ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.9ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融緩和の効果」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、12月のフィラデルフィア連銀景気指数、11月の鉱工業生産指数、12月のニューヨーク連銀景気指数、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者態度指数、11月のISM非製造業景況感指数、などは市場予想を上回りましたが、11月のISM製造業景況感指数、10月の耐久財受注、10月の消費者態度指数、などは予想以下となりました。11月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が39000人増と市場予想を大幅に下回り、失業率も9.8%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、11月の米住宅着工件数が3ヶ月ぶりに増加、10月の仮契約住宅販売指数が前月比10.4%上昇と大幅に改善し、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇するなど予想以上でしたが、先行指標の11月の住宅着工許可件数は予想以下でした。また、9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で0.6%上昇したものの今年1月以来の低水準でした。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月以降は改善傾向です。
ギリシャ、アイルランドを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続されていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は12月16日 0.3038% → 12月17日 0.3038% → 12月20日 0.3028%と上昇後やや下落しました。欧州財政危機前の05月03日の0.346%は下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は20日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.71ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.1、PBRが2.0、ROEが7.5%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-210円 ~ +20の間で推移しています。日本市場は、米国市場とほぼ均衡しました。
米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドの中にあります。一方、日経平均も短・中期上昇トレンドとなりました。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、今夜の米国市場では、主要な経済指標の発表はなさそうですので個別材料が注目されそうです。日経平均は中長期的にはテクニカルにもファンダメンタルにも米国市場に比べて割安ですので、この修正が続いて行くものと思われます。短期的には、為替の変化、朝鮮半島情勢、欧州財政問題、中国の利上げ、米経済指標の発表に左右される相場が続きそうですが、多くの外国人投資家はクリスマス明けまで休暇と云うこともありますので、ボラティリティーが低い状況が続くものと思われます。LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇を始めましたが、目先は落ち着いたようです。一方、今までのところ、米国市場は予想以上の経済指標が続き年初来高値を更新して堅調な動きが続いていますが、そろそろ株価には織り込み済みとなってきたようです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.16%とやや拡がり、円高推移は一服しました。日経平均は米国市場の騰勢鈍化と東証の騰落レシオが140台と高止まりしていることや、裁定買残増加で高値警戒感から上値が重たい状況ですが、欧州財政問題と朝鮮半島情勢の落ち着きから、目先の下振れリスクは後退したようですので、一転して上昇余地が出てきたようです。
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