[市況]
6日のNYDowは小幅下落し、NASDAQは小幅上昇しました。7日の日経平均先物は、前日20円安で寄り付きました。前場は一時90円安まで値を下げる動きでした。後場は10円安まで戻す場面もありましたが、最終的に30円安で終わりました。日経平均は26円安で引け、出来高は17.3億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、830万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
6日の米国市場では、バーナンキ議長がインタビューで、「米景気は自律的な経済情勢のレベルからはほど遠い」と指摘し、米国債の購入規模拡大の可能性を否定しなかったことが前向きに受け止められましたが、買い進むほどの材料にはなりませんでした。ただ、下値を売り込む動きは少なく、最近の投資家心理の改善を受けて、短期的な戻りを期待する買いが下値を支えました。
7日の日本市場では、前場は円が対ドルやユーロで上昇したことを受け、輸出関連株を中心に売りが優勢でした。中国で利上げ観測が強まったことも買い手控えムードを誘い、短期的な過熱感が意識されるなか、目先の利益を確定する動きが強まりました。後場は円高・ユーロ安の流れが一服したことが安心感につながり、次第に押し目買いが増え、底堅い動きとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+11.7%とプラス幅が縮まりました。200日線との乖離率は+2.3%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.3ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.3ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ1.5ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を決めました。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、11月のISM非製造業景況感指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の個人消費支出、11月の消費者態度指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、10月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、11月のISM製造業景況感指数、10月の耐久財受注、10月の消費者態度指数、などは予想以下となりました。11月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が39000人増と市場予想を大幅に下回り、失業率も9.8%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、10月の仮契約住宅販売指数が前月比10.4%上昇と大幅に改善し、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇するなど予想以上でしたが、10月の住宅着工件数は予想以下でした。また、9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で0.6%上昇したものの今年1月以来の低水準でした。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月、11月は改善傾向です。
ギリシャ、アイルランドを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安の再燃の懸念を生んでいます。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は12月02日 0.3034% → 12月03日 0.3034% → 12月06日 0.3034%と上昇後横ばい傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%をまだ下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は6日、変わらずでした。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.45ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.5、PBRが1.16、ROEが7.5%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落につれて下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.4%となり、日経平均は130円の割高で、割高幅は変わりませんでした。プレミアム値は、ここ一週間、+60円 ~ +280の間で推移しています。日本市場は、米国市場と比べて強い動きが続いていますが、今日は変化なしでした。米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドの中にあります。一方、日経平均も短期・中期とも上昇トレンドです。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、今夜の米国市場では、重要な経済指標の発表はなさそうですので、個別材料が注目されそうです。日経平均は中長期的にはテクニカルにもファンダメンタルにも米国市場に比べて割安ですので、この修正が続いていましたが、ここにきて、やや円高方向となっている為に一服しています。日経平均の今後を占う上で、日米金利差の推移が引き続き重要です。現在長期金利差は1.83%と停滞ぎみですので、目先は膠着した動きとなり易い状況です。朝鮮半島情勢、欧州財政問題、中国の利上げに左右される相場となりそうです。、LIBORのドル3ヶ月物金利は横ばいですので、目先の欧州財政問題は落ち着きを取り戻したようです。米国市場の戻り歩調が続けば、日本市場にもさらなる上昇余地は基本的にはありそうです。また、米国市場は雇用統計の悪化にも関わらず上昇し、短期トレンドも青信号を維持していますので、出直り気分がまだ続いていると考えてよさそうです。一方、日経平均は騰落レシオが高水準ですので、一段の円安とならない限り、引き続き、米国市場に比べれば、弱い動きが続きそうです。ただ、200日線(9915円)がサポートラインとなりそうです。
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