[市況]
14日のNYDowとNASDAQは上昇しました。15日の日経平均先物は、前日比同値で寄り付き、前場は30円高から20円安の間で小動きでした。後場に50円安まで売られる場面が有りましたが、引けにかけて戻し、最終的に10円安で終わりました。日経平均は6円安で引け、出来高は20.9億株と増加傾向です。寄り付き前の外国人の売買注文は、820万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
14日の米国市場では、11月の小売売上高は前月比0.8%増と市場予想以上に増加し、景気回復期待から、小売り株の一角が買われました。FOMCの声明が、景気や物価への認識をあまり変えなかったことで、市場ではほぼ予想通りの結果と受け止められましたが、最近の米経済指標の改善にも関わらず金融緩和を維持することで、相場の支援材料になりました。一方、最近堅調だった金融株などに利益確定売りが出て、株価指数は引けにかけて上昇幅を縮めました。
15日の日本市場では、米景気の回復期待による米国市場の上昇に加え、証券優遇税制の延長も投資家心理を明るくしたこともあり、朝方は上げる場面も有りましたが、大引けにかけては、短期的な過熱感から利益確定売りに押されて小安くなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+13.8%とプラス幅が縮まりました。200日線との乖離率は+4.0%とプラス幅は変わりませんでした。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.1ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ1.6ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を決めました。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者態度指数、11月のISM非製造業景況感指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の個人消費支出、11月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、などは市場予想を上回りましたが、11月のISM製造業景況感指数、10月の耐久財受注、10月の消費者態度指数、などは予想以下となりました。11月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が39000人増と市場予想を大幅に下回り、失業率も9.8%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、10月の仮契約住宅販売指数が前月比10.4%上昇と大幅に改善し、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇するなど予想以上でしたが、10月の住宅着工件数は予想以下でした。また、9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で0.6%上昇したものの今年1月以来の低水準でした。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月以降は改善傾向です。
ギリシャ、アイルランドを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安の再燃の懸念を生んでいます。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は12月10日 0.3016% → 12月13日 0.3016% → 12月14日 0.3019%と横ばいから上昇に転じました。欧州財政危機前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は14日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.69ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.9、PBRが1.19、ROEが7.5%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均は50円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-110円 ~ +120の間で推移しています。日本市場は、米国市場と比べて弱い動きとなりました。
米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドの中にあります。一方、日経平均も短期・中期とも上昇トレンドです。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、今夜の米国市場では、11月の消費者物価指数、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数、11月の鉱工業生産が注目されそうです。日経平均は中長期的にはテクニカルにもファンダメンタルにも米国市場に比べて割安ですので、この修正が続いてゆくものと思われます。短期的には、為替の変化、朝鮮半島情勢、欧州財政問題、中国の利上げ、米経済指標の発表に左右される相場が続きそうでが、多くの外国人投資家はクリスマス明けまで休暇と云うこともありますので、変動要因は少なくなると思われます。LIBORのドル3ヶ月物金利が上昇を始めましたので注意が必要ですが、欧州財政問題は落ち着きを取り戻しているようです。また、今までのところ、米国市場は予想以上の経済指標が続き年初来高値を更新して堅調な動きが続いています。好材料が続き米国市場の戻り歩調が続けば、日本市場にもさらなる上昇余地がありそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は2.23%と拡がり、円安ぎみに推移したものの、日経平均は弱含みの動きとなりました。日経平均は騰落レシオが150台と高止まりして警戒感はあるものの、大きく売られる動きは見られず、膠着感のある相場が続いています。朝鮮半島情勢、欧州財政問題など投資環境にあまり変化がなさそうですので、クリスマス明けまでは一進一退の中でのゆるやかな上昇が続きそうです。
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