[市況]
28日のNYSEとNASDAQが上昇したことを受けて、日経平均は50円ほど高く寄りつき、その後も大きく上昇し後場に一時前日比450円ほど上昇する場面がありましたが、結局415円高で引けました。出来高は19.4億株と低水準ながら、外人は570万株の買い越しとなり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅を縮小し、個別銘柄は"売り"有利な状況ながらかなり改善されてきました。
28日の米国株式市場では、4月の耐久財受注額が市場予想ほど前月から減少しなかったほか、資本財の受注額が4カ月ぶりにプラスとなり、米景気の底堅さから買いを誘ったようです。小売衣料品の決算が市場予想を上回ったことから、小売株が堅調でしたが、原油相場が上昇に転じたことが嫌気され、アナリストが資本増強の必要性を指摘したAIGや損失が増加した地銀が下落し、金融株は売りが目立ちました。
29日の日本市場では、前場中ごろに日経平均先物が債券先物を絡めた裁定売買と思われる大量の買いが入り一段高となりました。米国の長期金利上昇を受け、東京市場では米国の利下げが打ち止めになるとの見方から、債券先物から株価指数先物に資金が流入して現物株もつれ高したようです。
[テクニカル視点]
一目均衡表では雲の上に在り、総合乖離率は+2.7%とプラスに転換、200日線との乖離率は-6.4%とマイナス幅が縮小しました。3つの内2つがウラスとなりましたので、中期的トレンドは、"青信号"となりました。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は1.1ポイントと変化なく、テクニカルから見た割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.5ポイント下回わるレベルに縮小し、売られ過ぎ感は傾向としては改善方向です。
NY Dowは一目均衡表の雲の上限で跳ね返り、75日線を抜きましたが本格的にリバウンドしたとはまだ言えません。Nasdaqは、25日線を抜き上昇トレンドを維持していますが出来高の減少が気になります。日経平均は、25日線を大きく抜き返しました。
[ファンダメンタル視点]
米国市場では景気指標が好転して上昇しましたが、金融株は相変わらず安く、ここからの本格的上昇には懐疑的にならざるを得ない状況です。今後もしばらく不動産下落も続きそうですので、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響は完全に払拭されてはいないと考えておかなければなりません。本格反転には公的資金を活用した、破綻懸念の払拭が必須と思われます。5,6月の2ヶ月の間に対策が出ないと7月の決算発表時に波乱も考えておかなければなりません。逆に有効な対策がでると、金融株の急騰も有り得ます。ここからは、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティーの株価は依然として、3月の安値を下回って推移しています。一方、日本企業の3月期決算発表はほぼ終わりましたが、今日現在の日経平均の今期増益率は-2.2%で、予想PERは16.3となりました。
[今後の見通し]
今日も先物主導で米国市場以上の上昇となりました。連日荒っぽい動きとなっていますが、今日の終値ではNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは2%(300円)となりました。明日は米国市場が大幅上昇しないかぎり、先物主導で軟調な展開が予想されます。日経平均のボリンジャー・バンドは狭まりつつありますので、近々上下どちらかに大きく動きそうです。
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