[市況]
8月15日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。8月18日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は90円安まで下落したのち330円高まで上昇幅を拡げ、午後は370円高から180円高の間でもみあって、結局、250円高で取引を終えました。日経平均の終値は336円高の43714円で、出来高は21.01億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
8月15日の米国市場では、投資会社による大規模な株式の取得が伝わったユナイテッド・ヘルス・グループやセールスフォースが大きく買われ、指数を押し上げました。一方、高関税への懸念から半導体関連株が売られ、相場の重石となりました。7月の小売売上高や8月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数など注目度の高い経済指標が発表されましたが、内容はまちまちで、9月利下げ予想に影響を与えるほどではありませんでした。結局、NYDowは反発し、NASDAQは続落しました。
8月18日の日本市場では、日本株の先高観が引き続き意識され、リスク選好の動きが優勢となりました。前週末の米国市場で半導体関連株が下落した流れを受けてハイテク株は売りに押されましたが、一方で主力の値がさ株が買われ、指数を押し上げました。午後には上値追いの勢いは一服しましたが、日経平均は続伸し、前週末に続いて過去最高値を更新しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+31.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+13.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+1.1ポイントとプラスに転換し、日経平均が480円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+9.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が4070円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.85と前日より上昇し、VIXも15.72と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.0、米国+0.2と日本が4.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.06ポイント(日経平均換算で53300円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP速報値は前期比年率3.0%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月の耐久財受注、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、7月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、7月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比7.3万人増で、市場予想の10.8万人増を下回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.3%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.98、PBRが1.59となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.4%で、こちらは3か月前より7.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.2%となり、日経平均の割高幅は2160円から2140円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1610円~+2500円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.73ポイントから2.75ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
8月18日の米国市場では、8月の住宅市場指数のほか、パロアルト・ネットワークスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税の影響や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを20円ほど下回り、下値は想定ラインを580円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+300円(現在43850円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+600円(現在42910円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は続伸し、連日で過去最高値を更新しました。引き続き、上昇中のボリンジャーバンド+2σを挟んだ動きが期待できそうです。
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