[市況]
8月1日、NYDowとNASDAQは下落しました。8月4日の日経平均先物は、前日比990円安で寄り付くと、午前中は1120円安から730円安と下落幅を縮め、午後は780円安から530円安と下落幅を縮めて、結局、540円安で取引を終えました。日経平均の終値は508円安の40290円で、出来高は20.18億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3営業日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
8月1日の米国市場では、7月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想(前月比10万人増)を下回る7万3000人増にとどまったことや、7月のISM製造業景況指数が市場予想に反して前月比で低下したことなどを受け、雇用や景気の先行きに対する懸念が強まり、主力株を中心に売りが広がりました。大手ハイテク株もそろって軟調でした。NYDowは5日続落し、NASDAQも続落しました。
8月4日の日本市場では、前週末の米株式市場で主要な株価指数がそろって下落した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に売りが先行しました。長期金利の低下や、外国為替市場の円高ドル安進行も重石となりました。日経平均は一時、節目の4万円を下回って推移しましたが、売り一巡後は押し目買いなどが入り、一方的に下値を模索する展開は避けられました。日経平均は続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+10.7 %とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+5.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-3.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1250円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+3.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1450円ほど割高であることを示しています。
日経VIは26.18と前日より上昇し、VIXも19.49と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を大きく上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.6、米国+0.0と日本が4.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.58ポイント(日経平均換算で56570円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP速報値は前期比年率3.0%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、7月のISM製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比7.3万人増で、市場予想の10.8万人増を下回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.3%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.32、PBRが1.47となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.4%で、こちらは3か月前より4.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.8%となり、日経平均の割高幅は10円から710円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円~+710円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.84ポイントから2.75ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
8月4日の米国市場では、6月の製造業受注のほか、ロウズ、タイソン・フーズ、アイデックス・ラボラトリーズ、オン・セミコンダクター、パランティアなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税の影響や長期金利の動向も株式相場に影響を与えるでしょう。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを850円ほど下回り、下値は想定ラインを460円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在40680円近辺)が上値の目安に、25日線-400円(現在39820円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は続落しましたが、25日線の上に戻って終了しました。ここでリバウンドできるかどうか、正念場となりました。
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