[市況]
8月21日、NYDowとNASDAQは下落しました。8月22日の日経平均先物は、前日終値と同値で寄り付くと、午前中は110円高から300円安の間で上下し、午後は90円安から0円安の間でもみあって、結局、40円安で取引を終えました。日経平均の終値は23円高の42633円で、出来高は17.01億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
8月21日の米国市場では、5~7月期決算で1株利益が市場予想を下回ったウォルマートが大幅に下落し、他の消費関連株にも売りが波及しました。また、相対的に割高感のあるハイテク株は、前日に続いて利益確定の売りに押されました。もっとも、ジャクソンホール会議を間近に控えて様子見の投資家も多く、相場の下値は限定的でした。NYDowは3日ぶりに反落し、NASDAQは3日続落しました。
8月22日の日本市場では、ジャクソンホール会議およびパウエルFRB議長の講演を今晩に控えて様子見ムードが強まるなか、外国為替市場の円安ドル高進行を好感した買いや、個人投資家による押し目買いがやや優勢となりました。日経平均は4日ぶりに小幅に反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+21.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+10.7%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+1.0ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が430円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+6.6ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均2810円ほど割高であることを示しています。
日経VIは25.11と前日より上昇し、VIXも16.60と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.1、米国+0.2と日本が4.3ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.13ポイント(日経平均換算で52550円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP速報値は前期比年率3.0%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、7月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、7月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比7.3万人増で、市場予想の10.8万人増を下回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、8月の住宅市場指数、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.3%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は1勝5負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.66、PBRが1.56となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.5%で、こちらは3か月前より4.2ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.8%となり、日経平均の割高幅は680円から320円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+320円~+2140円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.70ポイントから2.72ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
8月21日の米国市場では、7月の中古住宅販売件数や、ジャクソンホール会議およびパウエルFRB議長の講演のほか、ウォルマート、ノードソン、インチュイット、ロス・ストアーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税の影響や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを400円ほど下回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在43020円近辺)が上値の目安に、25日線+400円(現在42000円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は小幅に反発しましたが、このまま上昇に転じるかどうかは、パウエルFRB議長の講演内容次第となりそうです。
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