[市況]
8月7日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。8月8日の日経平均先物は、前日比200円高で寄り付くと、午前中は150円高から960円高と上昇幅を拡げ、午後は1030円高から730円高の間で上下して、結局、820円高で取引を終えました。日経平均の終値は761円高の41820円で、出来高は27.40億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
8月7日の米国市場では、FRBによる9月利下げ観測を背景に買いが先行しましたが、米経済の減速やインフレの上振れに対する警戒感は根強く、景気敏感株や消費関連株を中心に、次第に売りが優勢となりました。セールスフォースなどソフトウエア関連の下げも指数の重石となりました。一方、米国内への投資を表明している企業は高関税を避けられるとの観測から、半導体関連株の一角には買いが向かいました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは続伸しました。
8月8日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株が買われたほか、前日に決算を発表したソフトバンクグループが買われ、指数を押し上げました。日米間で齟齬のあった相互関税をめぐる合意について、米政府が大統領令を修正し、自動車関税を下げるための大統領令を出す見通しが示されたことも、買い安心感につながりました。日経平均は大幅に4日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+21.0%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+9.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-2.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が840円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+6.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2800円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.70と前日より低下し、VIXも16.57と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.36、米国+0.05と日本が4.41ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.31ポイント(日経平均換算で54790円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP速報値は前期比年率3.0%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は9勝3負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比7.3万人増で、市場予想の10.8万人増を下回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.3%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.12、PBRが1.54となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.8%で、こちらは3か月前より0.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.6%となり、日経平均の割高幅は950円から1870円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+680円~+1870円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.77ポイントから2.77ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
8月8日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、関税の影響や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを520円ほど上回り、下値は想定ラインを570円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在42050円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在41220円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は4日続伸しました。テクニカルには買われ過ぎを示す指標も目立ち始めており、そろそろ一服してもよい水準に達したようです。
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