日経平均の予想: [2025/06/23]今週の日経平均の見通し

Monday, June 23, 2025

[2025/06/23]今週の日経平均の見通し

[市況]

620日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。623日の日経平均先物は、前日比170円安で寄り付くと、午前中は70円安から350円安の間で上下し、午後は150円安から50円高と上昇に転じて、結局、50円高で取引を終えました。日経平均の終値は49円安の38354円で、出来高は15.71億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

620日の米国市場では、イスラエルとイランの攻撃の応酬が続くなか、米国の外交努力による仲介への期待が投資家心理を支え、株買いにつながりました。一方、米政権が対中半導体規制を強化するとの観測から、エヌビディアやブロードコム、アプライドマテリアルズなど半導体関連株が売られ、相場の重石となりました。結局、NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQは反落しました。

623日の日本市場では、米国がイランの核施設への攻撃に踏み切ったことを受けて投資家のリスク回避姿勢が強まり、幅広い銘柄に売りが先行しました。また、米国が対中半導体輸出規制を強化するとの観測から、値がさの半導体関連株が売られ、相場の重石となりました。ただ、売り一巡後は「有事のドル買い」を背景とした円安ドル高が支えとなり、指数は先物主導で下げ幅を縮めました。結局、日経平均は小幅に3日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+6.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均乖離率の差は、-3.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1150円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+2.0ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が770円ほど割高であることを示しています

 

日経VI26.60と前日より上昇し、VIX20.62と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国+0.0と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.98ポイント(日経平均換算で61180円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率0.2%減で、速報値の0.3%減を上回りました。また、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

米国の経済指標は:

6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月の小売売上高、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月の消費者物価指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のISM製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比13.9万人増で、市場予想の12.5万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標は:

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の住宅着工件数、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策は:

FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.00%としました。日銀は、6月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.44PBR1.40となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-3.6%で、こちらは3か月前より7.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均は290円割高から180円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-180円~+920円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.98ポイントから3.00ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

620日の米国市場では、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数のほか、アクセンチュア、カーマックス、クローガー、ダーデン・レストランツなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、中東情勢や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在38680円近辺)が上値の目安に、25日線(現在37920円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は3日続落しましたが、ローソク足は下ひげの陽線であり、踏みとどまったようにも見えます。正念場はまだ続くことになりそうです。



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