日経平均の予想: [2025/06/16]今後の日経平均の見通し

Monday, June 16, 2025

[2025/06/16]今後の日経平均の見通し

[市況]

613日、NYDowNASDAQは下落しました。616日の日経平均先物は、前日比290円高で寄り付くと、午前中は220円高から440円高と上昇幅を拡げ、午後は410円高から580円高と上昇幅を拡げて、結局、580円高で取引を終えました。日経平均の終値は477円高の38311円で、出来高は16.01億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を6営業日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

613日の米国市場では、イスラエルの攻撃に対しイランが反撃をおこなったと伝わり、中東情勢緊迫化への警戒感からリスク回避の売りが広がりました。原油先物相場が急騰したことも、業績への悪影響が懸念される航空などの銘柄には重石となりました。一方、軍需や防衛株には買いが向かいました。NYDowNASDAQは反落しました。

616日の日本市場では、外国為替市場で円相場が対ドルで下落したことから、輸出関連株に買いが向かいました。値がさの半導体関連株への買いも目立ち、アドバンテストは1銘柄で200円以上日経平均を押し上げました。円安に歩調を合わせた海外勢による株価指数先物への買いも追い風となりました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+7.0%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+1.0%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQ25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドも青信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均乖離率の差は、-3.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1260円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.8ポイントとプラスに転換し、日経平均が690円ほど割高であることを示しています

 

日経VI25.21と前日より低下し、VIX20.84と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国+0.1と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.96ポイント(日経平均換算で61920円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率0.2%減で、速報値の0.3%減を上回りました。また、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月の消費者物価指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のISM製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比13.9万人増で、市場予想の12.5万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.00%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.59PBR1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-3.9%で、こちらは3か月前より7.1ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.0%となり、日経平均は330円の割安から760円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円~+760円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.93ポイントから3.01ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。

 

616日の米国市場では、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを670円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在38650円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在37870円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は大幅に反発しました。611日の高値(38530円)を終値で上回ることができれば、同時に三角持ち合いを上離れすることとなるので、ここが目先の注目点です。



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