[市況]
6月16日、NYDowとNASDAQは上昇しました。6月17日の日経平均先物は、前日比70円高で寄り付くと、午前中は50円安まで下落したのち200円高まで上昇幅を拡げ、午後は180円高から80円高の間でもみあって、結局、150円高で取引を終えました。日経平均の終値は225円高の38536円で、出来高は15.88億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
6月16日の米国市場では、「イランが核開発計画に関する協議の再開を模索している」とのウォール・ストリート・ジャーナルの報道を受け、イスラエルとの軍事衝突をめぐって、イランが事態の沈静化に動き始めたとの見方が広がり、株買いをさそいました。原油先物相場が下落したことも追い風となりました。NYDowとNASDAQは反発しました。
6月17日の日本市場では、イスラエルとイランの戦闘停止への期待が投資家心理を支え、値がさの半導体関連株を中心に買いが優勢となりました。一方、G7サミットに合わせてトランプ大統領と会談をおこなった石破総理大臣の口から、日米間の貿易交渉が難航している旨が語られたことは、投資家心理の重石となりました。日経平均は続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+8.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+1.6%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線と200日線の下にありますが、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-4.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1620円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.7ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が660円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.64と前日より低下し、VIXも19.11と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国+0.1と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.92ポイント(日経平均換算で60960円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率0.2%減で、速報値の0.3%減を上回りました。また、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月の消費者物価指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のISM製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比13.9万人増で、市場予想の12.5万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.00%としました。日銀は、6月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.61、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.0%で、こちらは3か月前より7.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均の割高幅は760円から430円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円~+760円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.98ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
6月17日の米国市場では、5月の小売売上高や、5月の鉱工業生産指数、6月の住宅市場指数のほか、レナーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインを430円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+300円(現在38900円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在38100円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は続伸し、6月11日の高値を終値で上回りましたが、三角持ち合いを明確に上離れしたと判断するには、もう一段の上昇を確認したいところです。
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