[市況]
1月27日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。1月28日の日経平均先物は、前日比380円安で寄り付くと、午前中は590円安から100円安と下落幅を縮め、午後は140円安から580円安と下落幅を拡げて、結局、410円安で取引を終えました。日経平均の終値は548円安の39016円で、出来高は19.77億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を7日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
1月27日の米国市場では、中国のAI開発企業「DeepSeek」が、低コスト・高性能のAIモデルを実現したことから、米国のAI開発の優位性が揺るぎかねないとの懸念が強まり、エヌビディアやマイクロソフトなど関連株に売りが広がりました。一方、ディフェンシブ株や消費関連株の一角には買いが向かい、相場を支えしました。NYDowは反発し、NASDAQは続落しました。
1月28日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が下落した流れを受け、半導体関連株や電線株に売りが膨らみました。一方、半導体需要が減少し、GPUの価格が下がれば恩恵を受ける任天堂などには買いが向かいました。また、銀行や不動産など割安とされる銘柄にも資金がシフトしました。日経平均は3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上にありますが、25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は+0.3%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドも青信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の上にありますが、9日線と200日線を下回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドも青信号から黄信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.2ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2420円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-7.4ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2890円ほど割安であることを示しています。
日経VIは23.80と前日より上昇し、VIXも17.90と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.1と日本が5.3ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.14ポイント(日経平均換算で72940円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、11月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数、11月の製造業受注、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.6万人増で、市場予想の16万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は6勝0負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは12月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しましたが、2025年の利下げ回数は前回会合で示された4回から2回に半減しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.74、PBRが1.43となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.5%となり、日経平均の割安幅は860円から1360円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1360円~-380円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.37ポイントから3.37ポイントと横ばいでした。ドル円相場は乱高下しましたが、日中は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。
1月28日の米国市場では、12月の耐久財受注、11月のケース・シラー住宅価格指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などのはか、ボーイング、GM、シスコ、ロッキード・マーチン、インベスコ、キンバリー・クラーク、レイセオン・テクノロジーズ、ロイヤル・カリビアン・クルーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを470円ほど下回り、下値も想定ラインを290円ほど下回りました。目先は、25日線+200円(現在39470円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在38630円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は大幅に続落し、25日線を下回りましたが、個別銘柄は買い優勢が続いており、反転の機運は残っています。結局は、半導体関連株次第の相場が続きそうです。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。