[市況]
1月15日、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。1月16日の日経平均先物は、前日比420円高で寄り付くと、午前中は550円高から90円高と上昇幅を縮め、午後は40円高から330円高の間で上下して、結局、280円高で取引を終えました。日経平均の終値は128円高の38572円で、出来高は17.72億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。
1月15日の米国市場では、12月の消費者物価指数(CPI)のうち、コア指数の上昇率が鈍化したことから、インフレへの過度な懸念が後退し、株買いをさそいました。ゴールドマン・サックスなど大手金融株が好決算を手がかりに買われたことや、足元で売られていたハイテク株が買い直されたことも、相場を支えました。結局、NYDowは3日続伸し、NASDAQは6営業日ぶりに反発しました。
1月16日の日本市場では、前日の米株高を受けて買いが優勢となりました。ただ、朝方の買い一巡後は為替の円高進行が重石となり、買いの勢いは続きませんでした。トランプ氏の大統領就任や日銀の金融政策決定会合など重要日程を控えていることも、買い手控えにつながりました。日経平均はマイナスに転じる場面もありましたが、結局は6営業日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-3.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-0.3%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下に出ました。3つの要素すべてがマイナスとなり、中期トレンドも黄信号から赤信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-9.3ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3590円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-5.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2160円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.81と前日より低下し、VIXも16.12と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.4と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.50ポイント(日経平均換算で90920円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と一致しました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、11月の耐久財受注、11月の小売売上高は市場予想を上回りました。一方、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の製造業受注、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.6万人増で、市場予想の16万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
11月の中古住宅販売仮契約指数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、11月の住宅着工件数、11月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは12月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しましたが、2025年の利下げ回数は前回会合で示された4回から2回に半減しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.61、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より0.1ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.1%となり、日経平均の割安幅は810円から830円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-830円~-60円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.54ポイントから3.46ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
1月16日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、12月の小売売上高、1月の住宅市場指数のほか、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、PNCファイナンシャル、USバンコープ、M&Tバンク、ユナイテッドヘルス・グループ、JBハントなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインとほぼ一致し、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在39020円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在38240円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強い状態です。日経平均は6日ぶりに反発しました。11月28日につけた安値(37802円)を下回らずに上昇に転じたかどうかは、まだ見極めが必要と思われます。
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