[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、週初の日本市場の急落が米国市場にも波及して、週間で株価指数は下落しました。
週間変動率 NYダウ:-0.60%,
NASDAQ:-0.18%, S&P500:-0.04%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.48ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが21.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの14.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.48ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが40.8程度になるか、又は、日経平均が98,990円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は63,960円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、63,960円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2025年GDP予測値(現在+2.9%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。
② 3月期本決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.7%となりました。3ヶ月前に比べて0.3ポイント改善しました。また、利益伸び率は+1.9%となりました。3ヶ月前に比べて3.4%ポイント悪化しています。
③ 米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は2.86から3.11と拡大して、ドル円は141円台から147円台の範囲でやや円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.06%下落しました。
④ OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+2.9%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.0ポイント劣ります。
⑤ 7月第5週は売り超しで、8月第1週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に9.6ポイント(日経平均に勘算すると3360円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に8.4ポイント(日経平均に勘算する2940円程度)割安です。
日本市場はNYダウとNASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
20.4 と低下しました。 日経 VI は 週間で 45.3と上昇しました。米国市場は悲観的で日本市場はかなり悲観的です。
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"赤信号”が点灯しています。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。日経平均の総合乖離率は-24.0%となり、また、200日移動平均線との乖離率は-5.1%でした。 3つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"赤信号"が点灯しています。
米国市場では、NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。
短期的には"赤信号”で、中期的には"黄信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念が意識されています。また、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などがリスク要因として存在します。
直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。
日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
為替市場を分析すると、2024年6月につけた162円台をピークに円高方向に転換しています。今週は146台から148台が想定されます。
今週の米国市場では、消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表、FRB高官の講演が注目されます。さらに、小売売上高、ミシガン大学消費者信頼感指数、住宅着工件数、鉱工業生産などが発表されます。世界的には、英国の失業率とインフレ率、GDP成長率、、中国の住宅価格指数、小売売上高、失業率、日本の第2四半期GDP成長率、ドイツのZEW景気動向指数が注目されます。
先週の日経平均は、想定レンジを上下に逸脱ました。上値は想定を2450円ほど上回り、下値は想定ラインを1740円ほど下回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在38650円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在33220円近辺)の間での動きが想定されます。
今週は、米国の景気後退懸念が再び高まるかどうか、発表される経済指標を注視する週となりそうです。日経平均は為替の動きに敏感に反応して、神経質な展開が続きそうです。
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