日経平均の予想: [2023/08/16]今後の日経平均の見通し

Friday, August 16, 2024

[2023/08/16]今後の日経平均の見通し

[市況]

815日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。816日の日経平均先物は、前日比980円高で寄り付くと、午前中は850円高から1220円高と上昇幅を拡げ、午後は990円高から1490円高と上昇幅を拡げて、結局、1440円高で取引を終えました。日経平均の終値は1336円高の38062円で、出来高は18.78億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

815日の米国市場では、7月の小売売上高が市場予想を上回ったことや、小売り大手のウォルマートが好決算を発表したことなどを受け、米経済の先行きに対する楽観的な見方が強まり、景気敏感株を中心に買いが優勢となりました。NYDow3日続伸し、NASDAQ6日続伸しました。

816日の日本市場では、前日の米株高を受けて投資家心理が上向き、値がさ株を中心とした幅広い銘柄で買いが優勢となりました。外国為替市場で円安ドル高が進んだことも追い風となりました。また、国内長期金利の上昇を受けて銀行株や保険株にも買いが集まりました。日経平均は大幅に5日続伸し、およそ2週間ぶりに38000円台を回復しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にあり、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。

総合乖離率は+1.6%とプラスに転換し、200日線との乖離率も+2.8%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがプラスとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.5ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2470円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1100円ほど割安であることを示しています

 

日経VI26.54と前日より低下し、VIX15.31と前日より低下しました。日経VIは低下傾向にあるものの、依然として高い状態です。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.7と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.85ポイント(日経平均換算で58060円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、7月のISM非製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数、6月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比11.4万人増で、市場予想の17.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の中古住宅販売仮契約指数、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、8月の住宅市場指数、6月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識しており、9月利下げ開始への期待を高めています。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を達成できる見通しがついたとして、利上げに踏み切りました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では812 5.3776% 813 5.3797% 814 5.3571%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.70PBR1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.3%で、こちらは3か月前より0.5ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は160円から700円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-860円~+700円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから3.04ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

816日の米国市場では、7月の住宅着工件数や8月のミシガン大学消費者信頼感指数が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを600円ほど上回り、下値は想定ラインを1280円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-1300円(現在39160円近辺)が上値の目安に、25日線-500円(現在37440円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、依然として高い状態ですが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は5日続伸し、200日線を大きく上回りました。75日線(現在38669円)を上回れるかどうかが、次の注目点です。



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