日経平均の予想: [2023/08/23]今後の日経平均の見通し

Friday, August 23, 2024

[2023/08/23]今後の日経平均の見通し

[市況]

822日、NYDowNASDAQは下落しました。823日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付くと、午前中は130円高から190円安の間で上下し、午後は50円安から190円高とプラス圏に戻して、結局、180円高で取引を終えました。日経平均の終値は153円高の38364円で、出来高は13.17億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

822日の米国市場では、ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が講演するのを前に様子見ムードが強まり、主力株に持ち高調整の売りが出ました。また、長期金利の上昇を受けて高PERのハイテク株が売られました。一方で、FRBの利下げが景気を支えるとの期待感は、引き続き投資家心理を支えました。NYDowNASDAQは反落しました。

823日の日本市場では、植田日銀総裁が衆院財務金融委員会で、金融緩和の方針について曖昧な姿勢を示したことから、外国為替市場で円相場が強含み、株売りを促しました。ただ、午後に出席した参院財務金融委員会では、利上げに慎重な姿勢を支持したと伝わり、投資家に一定の安心感を与えました。結局、日経平均は続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+5.3%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+3.1%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2190円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.6ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1000円ほど割安であることを示しています

 

日経VI25.38と前日より低下し、VIX17.55と前日より上昇しました。日経VIは依然として、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.6と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.91ポイント(日経平均換算で60600円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、7月のISM非製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数、6月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比11.4万人増で、市場予想の17.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売件数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数、6月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は33負で、景気面と金利面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識しており、9月利下げ開始への期待を高めています。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を達成できる見通しがついたとして、利上げに踏み切りました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では819 5.3877% 820 5.3826% 821 5.3633%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.65PBR1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.6%で、こちらは3か月前より1.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.6%となり、日経平均の割高幅は1480円から1670円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+620円~+1670円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.94ポイントから2.96ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

823日の米国市場では、7月の新築住宅販売件数が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを520円ほど下回り、下値は想定ラインを350円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ(現在39240円近辺)が上値の目安に、25日線+500円(現在37800円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、高水準にありますが、前日比で低下しました。一方、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は続伸しました。75日線(現在38642円)で跳ね返されるか、あるいは大きく上回れるかどうかが、次の注目点です。



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