日経平均の予想: [2023/06/12]今後の日経平均の見通し

Wednesday, June 12, 2024

[2023/06/12]今後の日経平均の見通し

[市況]

611日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。612日の日経平均先物は、前日比280円安で寄り付くと、午前中は240円安から380円安と下落幅を拡げ、午後は370円安から230円安と下落幅を縮めて、結局、230円安で取引を終えました。日経平均の終値は258円安の38876円で、出来高は15.01億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

611米国市場では、5月の消費者物価指数(CPI)の発表とFOMCの結果公表を間近に控えて買い手控えムードが強まり、金融株などに持ち高調整の売りが出ました。ただ、10年物国債入札が堅調だったことが伝わると、長期金利が低下し、ハイテク株などへの買いをさそいました。次期OSに生成AI機能を組み込むと発表したアップルが大幅上昇したことも支えとなりました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは続伸しました。

612日の日本市場では、5月の米CPIの発表やFOMCの結果公表を前に、目先の利益を確定する売りや持ち高調整の売りが優勢となりました。ただ、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株や電子部品株の一角は底堅く推移し、相場を下支えしました。日経平均は3日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+9.5%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+9.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2180円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+4.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1790円ほど割高であることを示しています

 

日経VI17.61と前日より上昇し、VIX12.85と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.2と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.40ポイント(日経平均換算で101620円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.6%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は予想を下回りました。一方、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、66 5.5960% 67 5.5956% 610 5.6048%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.43PBR1.47となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.0%で、こちらは3か月前より10.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均の割高幅は570円から470円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+420円から+570円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.43ポイントから3.42ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

612日の米国市場では、5月の消費者物価指数(CPI)や、FOMCの結果公表およびパウエルFRB議長の会見のほか、ブロードコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインを20円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在39190円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在38470円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は反落しました。米CPIおよびFOMCの結果次第ではありますが、利下げ開始が早まるとは考えにくく、目先は下落リスクのほうが高そうです。



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