日経平均の予想: [2023/06/20]今後の日経平均の見通し

Thursday, June 20, 2024

[2023/06/20]今後の日経平均の見通し

[市況]

619日、米国市場は休場でした。620日の日経平均先物は、前日比170円安で寄り付くと、午前中は40円安から260円安と下落幅を拡げ、午後は170円安から120円高と上昇に転じて、結局、120円高で取引を終えました。日経平均の終値は62円高の38633円で、出来高は13.11億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。

 

619米国は奴隷解放記念日の祝日で、株式市場は休場でした。

620日の日本市場では、日本株の上値の重さが意識されるなか、19日の欧州株式市場の軟調さが投資家心理の重石となり、利益確定の売りが先行しました。ただ、午後に入り、ハイテク株比率の高い米株価指数先物が上昇すると、日本株にも先回り買いが入り、相場を押し上げました。結局、日経平均は3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+7.0%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+8.0%と横ばいでした。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうちプラスは2つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線の下にありますが、9日線と200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は-9.6ポイントで、日経平均が3710円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は+3.4ポイントで、日経平均が1310円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.70と前日より低下しました。VIX12.30と低水準です。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態にあります。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.43ポイント(日経平均換算で99230円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.6%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅市場指数、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は予想を下回りました。一方、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、614 5.6056% 617 5.6051% 618 5.6090%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.25PBR1.45となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.1%で、こちらは3か月前より10.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日の米国市場は休場でしたが、日経平均は小幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は330円から270円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-440円から+190円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.29ポイントから3.30ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

620日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、5月住宅着工件数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数のほか、アクセンチュアなどの四半期決算が注目されます。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを280円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ(現在38990円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在38250円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。一方、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は3日続伸しましたが、今日も勢いは感じられず、方向感に乏しい動きが続いています。膠着した状態を脱するには、新しい材料が必要なようです。



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