[市況]
6月26日、NYDowとNASADQは上昇しました。6月27日の日経平均先物は、前日比280円安で寄り付くと、午前中は200円安から430円安の間で上下し、午後は410円安から210円安と下落幅を縮めて、結局、210円安で取引を終えました。日経平均の終値は325円安の39341円で、出来高は16.28億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を8日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
6月26日の米国市場では、アナリストが評価を引き上げたアマゾンやアップルが買われ、指数を支えました。一方で、長期金利の上昇は株価の重石となりました。5月のPCE価格指数の発表や大統領候補によるTV討論会を週内に控え、様子見ムードも強まりました。結局、NYDowは小幅に反発し、NASDAQは続伸しました。
6月27日の日本市場では、足元の株高の反動で、短期的な過熱感を意識した利益確定の売りが優勢となりました。また、円安が急速に進行していることを受け、日銀が早期に金融政策正常化に踏み切るとの観測が強まり、投資家心理の重石となりました。時間外取引で米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジーが売られたことも、半導体関連株の重石となりました。日経平均は4日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+12.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+9.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線を下回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2680円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+4.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1730円ほど割高であることを示しています。
日経VIは16.18と前日より低下し、VIXも12.55と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)は0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.31ポイント(日経平均換算で97930円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.6%増を下回りました。また、1~3月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
市場は、FRBが2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、6月21日 5.6061% → 6月24日 5.6021% → 6月25日 5.6010%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.56、PBRが1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.2%で、こちらは3か月前より10.6ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均は30円の割高から340円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-830円から+30円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.25ポイントから3.26ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています。
6月27日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1~3月期のGDP確報値、5月の耐久財受注、5月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ナイキ、マコーミック、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを350円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在39650円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在39010円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。一方、信用の売り圧力は強まりました。きょうの日経平均は反落しました。まだ、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きを期待してもよさそうです。
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