日経平均の予想: [2011/07/31]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, July 30, 2011

[2011/07/31]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、連邦政府の債務上限引き上げについて、市場の期待に反して与野党が合意できず大幅下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は2.20ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの14.9との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.3%程度(OECD予想値より2.2ポイント高い)になることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、7月のISM製造業景況指数、7月の雇用統計の発表などが株式相場に影響しそうですが、連邦政府の債務上限引き上げについての与野党が合意の有無と内容次第で大きく変化しそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。
③ 日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.87%から1.72%へ縮小し、為替は78円から77円台で円高方向に動きました。今週は75円台から79円台で乱高下する可能性もありそうです。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.9%で、米国は+2.6%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 7月3週は買い越しで7月4週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.4ポイント割安となり、先週比1.0ポイント割安幅(弱い動き)が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は-0.9%となり先週と比較してマイナスに転換しました。総合乖離率は-0.7%となりマイナスに転換しました。1つがプラスですので中期トレンドは、”黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、景気指標、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドとなっています。日本市場は中期もみ合いで、短期は下降昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は上昇ぎみながら低水準で、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ金融不安には繋がっていません。一方、先週の日米金利差は縮小傾向で、米国債の発行上限問題が決着せず、為替は円高傾向でした。
今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。テクニカルに見ると日米とも短期は下降トレンドとなり、中期的にも黄信号となっています。今週も連邦債務の上限引き上げを巡る政府と議会の対立の行方が大きく影響しそうです。決着すれば、米国企業の決算発表内容が好調ですので、円安への流れの変化も期待でき、ある程度の日経平均の上昇が見込めますが、米国の国内景気低迷も見えてきましたから、V字回復とはなりそうもありません。一方、決着できない場合は米国債ディフォルト警戒感が続き、円高進行と株価指数のさらなる下落が有りそうです。中長期的にも正念場となってきたようです。


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