[市況]
23日、NYDowとNASDAQは下落しました。24日の日経平均先物は、前日比150円安で寄り付きました。前場は230円安まで売られましたが、後場は100円安まで戻る場面がありました。最終的に前日比150円安で引けました。日経平均は153円安で引け、出来高は17.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、400万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
23日の米国市場では、2月の消費者信頼感指数が前月比10.5ポイント低い46.0と昨年4月以来の低水準となり、市場予想の55も下回りました。前週末にかけて上昇基調が続いていたため、厳しい内容の経済指標が利益確定売りを誘って相場の下げ幅が大きくなりました。一方、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比0.2%低下しましたが、影響は限定的でした。
24日の日本市場では、米国市場の大幅下落に加え、円高推移などが重しとなり、朝方から売りが優勢となりました。売り一巡後の戻りも鈍く、下げ幅は200円を超える場面もみられました。後場はアジア市場の底堅さを受けて下げ渋ったものの、見送り気分の強い展開が続きました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。総合乖離率は+1.3%とプラス幅が縮まりました。200日線との乖離率は+1.8%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在り75日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の上に在りますが、75日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.7ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.1ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況です。経済指標では、2月の景気指数や1月の鉱工業生産指数や小売売上高は市場予想を上回りましたが、2月の消費者信頼感指数は大幅に低下し、消費者態度指数も予想以下でした。1月の失業率は9.7%に改善したものの、雇用者数は事前予想に反して減少となりました。一方、住宅関連では、2月の住宅市場指数が改善し、1月の住宅着工件数も改善しましたが、12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想の範囲内でした。12月の中古住宅販売は予想以下となっています。12・1月の景気指標はまちまちでしたが2月は改善傾向ながら、消費者マインドは低下したままのようです。中国・インドの金融引き締めの影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャの財政赤字国の債務不履行懸念問題はEUが支援する方向となり、少なくとも3月中旬までは材料にはなりにくいと思われます。このような環境の下、FRBは突然公定歩合を0.5%から0,75%に上げました。出口戦略への布石と考えられます。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は23日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.35ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが30.2、PBRが1.28となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%%となり、日経平均は120円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-520円~-70円の間で推移しています。日経平均は、円高ぎみの為替を考慮すると今日もアジア市場につられて下げ渋った感じです。今夜の米国市場では1月の新築住宅販売件数が注目されそうです。NYDowは75日線はサポートラインとはなりませんでしたが、かろうじて9日線と25日線は割らずに終了しました。日経平均は割ってしまいましたが、米国市場はまだ、崩れた訳ではありませんので、もうワンチャンスありそうです。日経平均が、一目均衡表の雲の中に止まれるかを見極める必要がありそうです。
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