[市況]
5日、NYDowとNASDAQは上昇しました。8日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付きました。前場は前日同値まで戻す場面もありました。後場は一転して値を下げ、最終的に前日比100円安で引けました。日経平均は105円安で引け、出来高は19.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、490万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
5日の米国市場では、欧州の一部諸国の財政不安を背景にリスク回避姿勢が強まったことからドルが買われ、原油などの商品先物相場が下落しました。エネルギーや素材株の売りが膨らみ、株価の押し下げ要因となりました。朝方発表の1月の雇用統計では、雇用者数は前月から2万人減少し、雇用の回復ペースが鈍いとの声が一部で聞かましたが、失業率は9.7%と前月も10.0%からやや改善した点が、雇用が持ち直しつつあることに変化はないと受け止められて、労働市場の改善を意識した買いが入り、引けにかけて急速に下げ渋りました。
8日の日本市場では、前週末のNYDowが1万ドルを一時割り込んだほか、円高懸念も重しとなり、寄り付きは売りが優勢となりました。寄り付き直後に節目の1万円大台を下回ると、上昇に転じる場面もありましたが、前週末終値近辺では戻り売り圧力が強く、上値の重さが意識されました。後場はアジア株市場の下げも嫌気され、大引けにかけてジリジリと下値を切り下げました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-7.8%とマイナス幅が拡大しました、200日線との乖離率は+0.1%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。1つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の中に入り、75日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線の上に在りますが、9日線、25日線、75日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の下に在り、9日線、25日線、75日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.3ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.9ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況です。経済指標では、1月のISM製造業景況感指数は市場予想を上回りましたが、1月の景気指数や12月の耐久財受注額が予想以下でした。1月の失業率は9.7%に改善したものの、雇用者数は事前予想に反して減少となりました。一方、住宅関連では、12月の仮契約住宅販売指数は上昇しましたが、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落、市場予想よりも弱い内容となりました。12月の米住宅着工件や、中古住宅販売も予想以下となりました。12・1月の景気指標は今までの改善傾向が踊り場に入ったことを示しているようです。さらに、中国・インドの金融引き締めが悪材料となっている面もあります。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。その上、新たに米政府の金融機関に対する規制問題が浮上したことも悪材料です。さらに、ギリシャ等の財政赤字国の債務不履行懸念問題が再燃しています。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあるようです。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は5日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.22ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが31.6、PBRが1.27となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の先週末の上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%%となり、日経平均は20円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-120円~+120円の間で推移しています。日経平均は、先物に影響されて独自の動きとなりました。今夜の米国市場は注目されそうな経済指標の発表はなさそうです。米国市場は週末に長い下髭をつけての陽線となりましたので、下げ止まりが期待されますが、アジア市場はまだ疑心暗鬼と云う事のようです。米国市場は一目均衡表の雲を下に抜けていますので、短期間に元に戻せるか否かに注目したいと思います。日本市場もそれ次第と思われます。
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