[市況]
3日、NYDowとNASDAQは下落しました。4日の日経平均先物は、前日比10円高で寄り付きました。前場は寄り付きから下げに転じ、後場前半に140円安まで売られました。大引けにかけて買い戻され、最終的に前日比70円安で引けました。日経平均は48円安で引け、出来高は21.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、510万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
3日の米国市場では、前日まで2日で200ドル超上昇した反動で、利益確定売りが優勢となりました。ファイザーが発表した10~12月期決算が市場予想を下回り、医薬品株が売られたことが株価指数を押し下げました。一方、ADPが発表した1月の全米雇用リポートで、雇用者数の前月比減少幅が22000人と、昨年12月の61000人から大幅に縮小したことが相場を下支えしました。
4日の日本市場では、朝方は、円安基調を背景に買いが先行したものの、前日までの3連騰に伴う戻り売り圧力が次第に強まり、寄り後すぐに下げへ転じました。トヨタを中心に、グループ各社の株価下落が指数を押し下げたほか、アジア株市場の軟調推移も重しとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は+3.7%とプラス幅が縮まりました、200日線との乖離率は+4.3%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、9日線および一目均衡表の雲の上に在りますが、25日線の下に在ります。
NYDowは200日線、9日線の上に在りますが、25日線、75日線の下に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の中に在り、9日線、25日線、75日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況です。経済指標では、1月のISM製造業景況感指数は市場予想を上回りましたが、1月の景気指数や12月の耐久財受注額が予想以下でした。12月の失業率は10%で、雇用者数の減少幅は市場予想を上回り改善傾向がストップし悪化しました。一方、住宅関連では、12月の仮契約住宅販売指数は上昇しましたが、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落、市場予想よりも弱い内容となりました。12月の米住宅着工件や、中古住宅販売も予想以下となりました。12・1月の景気指標は今までの改善傾向が踊り場に入ったことを示しているようです。さらに、中国・インドの金融引き締めが悪材料となっている面もあります。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。その上、新たに米政府の金融機関に対する規制問題が浮上したことも悪材料です。ドバイショックや、ギリシャ等の財政赤字国の債務不履行懸念問題も忘れる訳にはゆきません。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は3日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.37ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが35.6、PBRが1.31となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%%となり、日経平均は50円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-120円~+230円の間で推移しています。日経平均は、円安にもかかわらず下落しました。今夜の米国市場は1月のチェーンストア売上高が注目されそうです。引き続き、米国市場の戻りが本物か否かが試されている相場と思われます。日米市場とも25日線を上回れるかがポイントとなりそうでが、株価指数の25日線が日米共に下降していますので、すんなり戻る可能性は小さそうです。
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