日経平均の予想: [2010/02/17]日経平均の今後の見通し

Wednesday, February 17, 2010

[2010/02/17]日経平均の今後の見通し

[市況]
16日、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。17日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付きました。前場は240円高まで上昇した後、小動きとなりました。後場は、最終的に前日比270円高で引けました。日経平均は272円高で引け、出来高は17.6億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、110万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、若干ですが、プラス転換しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
16日の米国市場では、EUが開いた財務相会合で、ギリシャの財政再建計画を承認する方針を示したことで、財政不安がひとまず後退するとの期待感から、ユーロが対ドルで買われました。金や原油相場が大幅に上昇し、石油株や金鉱株などが相場を押し上げました。2月の景気指数が上昇し、住宅市場指数も改善したことが、米景気回復への期待感につながりました。バークレイズの好決算やバンカメの1月のクレジットカードの貸倒償却率低下の報道で、金融株にも買いが膨らみ、引けにかけて相場は上げ幅を広げました。
17日の日本市場では、米市場高や円安推移が好感され、朝方から買いが優勢となりました。75日移動平均線を回復したことで、買い一巡後も先物へのショートカバーを誘い上昇が続きました。後場に入るとアジア市場高も支援材料となり、大引けにかけては10300円台を回復しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。総合乖離率は+4.0%とプラス転換しました、200日線との乖離率は+3.3%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の上に抜け、75日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。
NYDowは200日線、9日線の上に在りますが、25日線、75日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、9日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の中に在り、25日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.5ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況です。経済指標では、2月の景気指数や1月の小売売上高、ISM製造業景況感指数は市場予想を上回りましたが、2月の消費者態度指数が予想以下でした。1月の失業率は9.7%に改善したものの、雇用者数は事前予想に反して減少となりました。一方、住宅関連では、2月の住宅市場指数が改善し、12月の仮契約住宅販売指数も上昇しましたが、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落、市場予想よりも弱い内容となりました。12月の米住宅着工件や、中古住宅販売も予想以下となりました。12・1月の景気指標はまちまちでしたが2月は改善傾向も見えます。さらに、中国・インドの金融引き締めが悪材料となっている面もあります。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャの財政赤字国の債務不履行懸念問題はEUが支援する方向となり、少なくとも3月中旬までは材料にはなりにくいと思われます。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は16日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.31ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが31.3、PBRが1.31となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率以上に上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%%となり、日経平均は80円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-220円~-50円の間で推移しています。日経平均は、欧州のソブリン・リスク後退と連休明けの米国市場の上昇で先物の買い戻しが出て、大幅高となりました。今夜の米国市場では1月の住宅着工件数や1月の鉱工業生産が注目されそうです。日経平均は上値抵抗線の10120円を一気に抜きました。テクニカルにも底値圏接近を示す指標が出ていましたので、反転開始と見て良さそうですが、今日の上昇は先物の売り方の買い戻しが中心で、現物の出来高は細ったままです。今のところ、戻りの勢いは強いとは言えません。25日線も下降中で、米国市場も微妙な位置にありますので、目先は戻り売りが出やすそうです。


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