[市況]
12日、NYDowは下落しNASDAQは小幅上昇しました。15日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付きました。前場は10円高もありましたが、その後は軟調な展開となりました。後場も徐々に値を下げ、最終的に前日比90円安で引けました。日経平均は78円安で引け、出来高は16.8億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、240万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
12日の米国市場では、中国人民銀行が2ヶ月続けて準備率の引き上げを発表したことや、10-12月期のEUのGDPの増加率が市場予想を下回ったことが嫌気されました。2月の消費者態度指数が予想を下回ったこともマイナス材料でした。一方、安値圏ではハイテク株を中心に値ごろ感からの買いが入り、相場全体を下支えしました。1月の小売売上高が2ヶ月ぶりに前月比でプラスに転じ、市場予想以上となったことも下支え要因でした。
15日の日本市場では、10-12月期GDPが市場予想を上回り、買い優勢で始まりましたが、積極的に上値を追う動きは乏しく、下げに転じました。中国市場の春節入りと、米国市場もプレジデントデーの休場を受けて買い手控え気分が広がりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-5.1%とマイナス幅が拡がりました、200日線との乖離率は+0.5%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。1つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の下に抜け、75日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、9日線の上に在りますが、25日線、75日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、9日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の中に在り、25日線、75日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.5ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.0ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況です。経済指標では、1月の小売売上高やISM製造業景況感指数は市場予想を上回りましたが、1月の景気指数や2月の消費者態度指数が予想以下でした。1月の失業率は9.7%に改善したものの、雇用者数は事前予想に反して減少となりました。一方、住宅関連では、12月の仮契約住宅販売指数は上昇しましたが、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落、市場予想よりも弱い内容となりました。12月の米住宅着工件や、中古住宅販売も予想以下となりました。12・1月の景気指標は今までの改善傾向が踊り場に入ったことを示しているようです。さらに、中国・インドの金融引き締めが悪材料となっている面もあります。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。その上、新たに米政府の金融機関に対する規制問題が浮上したことも悪材料です。ギリシャ等の財政赤字国の債務不履行懸念問題はEUが支援する方向となりましたが、成り行きは注視する必要がありそうです。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は12日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.18ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが30.6、PBRが1.27となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.4%%となり、日経平均は160円の割安で、割安幅に変化はありませんでした。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+70円の間で推移しています。日経平均は、海外市場の休場で商いも細り、様子見となりました。今夜の米国市場は休場ですが、引き続き、ギリシャ支援策の行方が注目されそうです。米国市場は、中国の準備率の引き上げが水を差した形ですが、今週は上海市場が休場ですので、株価への影響は来週まで、はっきりしません。欧州のソブリン・リスクも引き続き影響がありそうですので、日本市場は様子見気分が続きそうです。当面、日経平均の上値は10120円、下値は200日線の9967円が抵抗線のようです。
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