[市況]
19日のNYSEとNASDAQは上昇したことを受けて、日経平均は40円ほど高く寄りつきましたが、直ぐに下落に転じ、その後も終日軟調な展開となり、結局188円安で引けました。外人は1070万株の売り越しで、出来高は20.2億株と低水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄は"売り"有利な状況です。
19日の米国株式市場では、中国が石油製品の値上げとの報道で需要減少観測が広がって原油が急反落し、アナリストが一部銘柄の業績見通しを引き上げたハイテク株が堅調だったことも、相場を支えたようです。一方、シティが住宅ローン関連で4―6月期に追加損失を計上する可能性を示したと伝わり、大手銀行株が下落。6月のフィラデルフィア連銀景気指数のマイナス幅が前月から拡大し、市場予想を下回ったことも重しとなりました。
20日の日本市場では、米市場の上昇を好感して買いが先行したものの、モノライン大手の格下げなど、米金融不安への意識が徐々に強まり、日経平均は下げに転じました。後場寄り付き直後は、中国株式相場の反発を受けて日経平均が下げ渋る場面もありましたが、その後先物への見切り売りをきっかけに下げ幅を拡大しました。
[テクニカル視点]
一目均衡表ではまだ雲の上に在りますが、総合乖離率は-2.8%とマイナス転換し、200日線との乖離率は-4.7%とマイナス幅が拡大しました。3つの内2つがマイナスですので、中期的トレンドは、"黄信号"となりました。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は2.3ポイントに拡大しました。テクニカルから見た割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.0ポイント下回わるレベルとなり、売られすぎ感が出てきました。
NY Dowは、少し上げたものの、一目均衡表の雲の下に在り、さらに、75日線、25日線、9日線の下でも在り、昨日も直近安値を更新しています。Nasdaqは一目均衡表の雲の上となり、25日線には届きませんでしたが9日線は抜きました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を割り、25日線も割ってしまいました。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は原油の下落を好感して上昇しましたが、シティの追加損失と経済指標悪化が重荷でした。今後しばらく不動産下落も続きそうですので、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。本格反転には公的資金を活用した破綻懸念の払拭が必須と思われますが、現在のところ、まだ対策が出ていません。7月に主要銀行の決算発表時を控えていますので、スッキリしません。しかし、逆に有効な対策がでると、金融株の急騰も有り得ます。ここからは、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティーの株価は依然として、年初来安値を更新して推移しています。(3月安値18ドルに対して現在10.0ドル)一方、日本企業の3月期決算発表は終わりましたが、今日現在の日経平均の今期予想増益率は-2.2%で、予想PERは16.5となりました。
[今後の見通し]
今日の日経平均は今夜の米国安を予測して売られました。その結果、終値ではNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは約-0.4%(-60円)となり、逆に若干売られ過ぎとなりました。ドル換算チャートでは一目均衡表の雲の下限に到達し、75日線も割ってしまいました。目先の日経平均の割高感はなくなり、NYDowとの連動性が高まりました。上昇の条件の内、原油安は少し見えてきましたので、残る米金融不安が増すのか減るのかがポイントです。
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