[市況]
9日のNYSEは上昇、NASDAQは下落しましたが、日経平均は100円ほど高く寄りつきましたが、その後下げに転じ、後場、下げ幅を拡大、結局160円安で引けました。外人は170万株の買い越しでしたが、出来高は19.7億株と低水準で、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅を縮小しましたが、個別銘柄は"売り"有利な状況です。
9日の米国株式市場では、原油が下げたほか、4月の仮契約住宅販売指数が前月から大きく改善したことも支援材料となり、前週末に急落した後とあって、値ごろ感からの買いが入りやすかったようです。一方、リーマン・ブラザーズが巨額の赤字決算見通しや増資計画を発表したことが、金融機関の業績懸念や財務不透明感を誘った面もありました。米景気懸念が強まっており、景気に敏感なNASDAQ指数は終日軟調に推移しました。
10日の日本市場では、ポールソン財務長官が9日、「為替介入の選択肢を排除しない」と発言したことで、円相場が106円台に下落、朝方は輸出関連株中心に買いが目立ちましたが、後場に香港・上海市場安につられて日経平均の下げ幅が拡大しました。4月の機械受注統計は受注額が市場予想平均を上回わりましたが、相場への影響は限定的でした。
[テクニカル視点]
一目均衡表では雲の上に在り、総合乖離率は-0.9%とマイナス転換、200日線との乖離率は-4.6%とマイナス幅が拡大しました。3つの内2つがマイナスとなりましたので、中期的トレンドは、"黄信号"となりました。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は2.0ポイントに拡大。テクニカルから見た割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.5ポイント下回わるレベルに拡大しましたが、売られ過ぎ感は改善方向です。
NY Dowは、昨日の上昇でも一目均衡表の雲の下に在ります。数日で戻れないと中期的に低迷することも考えておかなければなりません。Nasdaqと日経平均は一目均衡表の雲の上に在りますが、Nasdaqに続き日経平均も25日線を割りました。
[ファンダメンタル視点]
米国市場では住宅に良い経済指標が出たものの、新たに金融不安懸念が出ました。今後もしばらく不動産下落も続きそうですので、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響も完全に払拭されてはいません。本格反転には公的資金を活用した、破綻懸念の払拭が必須と思われます。5,6月の2ヶ月の間に対策が出ないと7月の決算発表時に波乱も考えておかなければなりません。逆に有効な対策がでると、金融株の急騰も有り得ます。ここからは、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティーの株価は依然として、3月の安値を下回って推移しています。一方、日本企業の3月期決算発表は終わりましたが、今日現在の日経平均の今期増益率は-2.3%で、予想PERは17.3となりました。
[今後の見通し]
今日は円安にも関わらず下落しました。その結果、今日の終値ではNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは約0.7%(100円)となり、ほとんど、この差は解消されました。今日は円安よりもアジア株安の影響が勝ったと云うことでしょう。しかし、外人を中心とした短期筋の資金の流入は続いているようです。世界的なインフレ懸念の中、日本のスタグフレーション懸念は比較的少ないとの思惑が働いているようです。日本市場の相対的優位性はしばらく続きそうですが、米国株安の中での日本株上昇はあり得ませんので、不安材料はやはり、米国市場の動きでしょう。
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