[市況]
6日のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均は210円ほど安く寄りつき、直後に370円ほど安くなる場面もありましたが、その後は若干戻す展開となり、結局308円安で引けました。外人は830万株の買い越しでしたが、出来高は19.4億株と低水準で、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス転換しましたので、個別銘柄は"売り"有利な状況に変化しました。
6の米国株式市場では、雇用統計で雇用者数は前月比49000人減と市場予想の6万人減ほど悪化しなかったものの、失業率が5.5%と前月比で0.5ポイントの急上昇となり、市場予想の5.1%も大きく上回ったことと、中東情勢の不安などを背景に原油先物相場が一時1バレル139ドル台に急伸し、過去最高値を更新したことが景気低迷とインフレの同時進行を連想させ、指数は大きく下落しました。
9日の日本市場では、前週末米市場が急落したことや、朝方の円相場が円高で推移したことで、ほぼ全面安となりましたが、寄付前の外人が買い越しだったことから、外人の日本買いは続くとの思惑が働き、米国市場と比べ下落率は小さいままで終了しました。
[テクニカル視点]
一目均衡表では雲の上に在り、総合乖離率は+2.5%とプラス幅が縮小、200日線との乖離率は-3.6%とマイナス幅が拡大しました。3つの内2つがプラスですので、中期的トレンドは、"青信号"です。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は1.9ポイントと変化はありません。テクニカルから見た割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.1ポイント下回わるレベルに縮小し、、売られ過ぎ感はほとんど無くなりました。
NY Dowは、一目均衡表の雲の下に抜けてしまいましたので、数日で戻れないと中期的に低迷することも考えておかなければなりません。Nasdaqは25日線を割りましたが、日経平均は、25日線の上をキープしました。
[ファンダメンタル視点]
米国市場では雇用減と原油高で行き先スタグフレーション懸念が再燃してきました。さらに、金融不安もくすぶっています。今後もしばらく不動産下落も続きそうですので、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響も完全に払拭されてはいないようです。本格反転には公的資金を活用した、破綻懸念の払拭が必須と思われます。5,6月の2ヶ月の間に対策が出ないと7月の決算発表時に波乱も考えておかなければなりません。逆に有効な対策がでると、金融株の急騰も有り得ます。ここからは、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティーの株価は依然として、3月の安値を下回って推移しています。一方、日本企業の3月期決算発表は終わりましたが、今日現在の日経平均の今期増益率は-2.3%で、予想PERは17.3となりました。
[今後の見通し]
今日はさすがに円高ぎみでしたが、米国市場の下落率ほどは下落しませんでした。その結果、今日の終値ではNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは約4.0%(550円)となりました。いずれこの差は解消されると思われますが。外人を中心とした短期筋の資金の流入は続いているようです。世界的なインフレ懸念の中、デフレから脱却中の日本はインフレ率は低いので、スタグフレーション懸念は比較的少ないとの思惑が働いているようです。日本市場の相対的優位性はしばらく続きそうですが、米国株安の中での日本株上昇はあり得ませんので、やはり、円安基調、原油下落方向、金融不安懸念後退が日本市場の更なる上昇要因と思われます。
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