日経平均の予想: June 2024

Saturday, June 29, 2024

[2024/6/30]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、経済指標が経済活動の継続的な鈍化を示したことや、一部の半導体株が売られた一方、長期金利の低下局面では買いが優勢となり、株価指数はまちまちでした。

週間変動率 NYダウ:-0.08%, NASDAQ:+0.24%, S&P500:-0.08%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.35ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.3に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER16.7との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.35ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER61.3程度になるか、又は、日経平均が145,190円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は105,610円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、105,610円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線を維持できるか否かに注目。

  3月期本決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+1.0%となりました。3ヶ月前に比べて10.8%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.30から3.36と拡大して、ドル円は158円台から161円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.02%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.4%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.5ポイント劣ります。

  6月第3週は売り超しで、6月第4週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に5.4ポイント(日経平均に勘算すると2140円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に5.2ポイント(日経平均に勘算する2060円程度)割高です。

 

日本市場はNYダウに対しては強く、NASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 12.4 と低下しました。 日経 VI は 週間で 16.1と低下しました。米国市場は楽観的で日本市場はやや楽観的です。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+13.8%となり、200日移動平均線との乖離率は+10.1%でした。2つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線と25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の中に在ります。

NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。

日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、19904月以来の160円台となっています。今週は162台から158台が想定されます。

 

今週の米国市場では、雇用統計とFOMC議事録が注目されます。その他の重要な発表では、ISM製造業・サービス業PMIJOLTs求人件数、製造業受注、貿易統計などがあります。欧州では、フランスと英国の議会選挙が注目されます。世界的には、ユーロ圏のインフレ率、ドイツの鉱工業生産、日本の短観、中国の製造業・サービス業PMIが注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内を上振れしました。上値は想定ラインを380円ほど上回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+3σ(現在39930円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在39180円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週も、発表される経済指標が景気後退を示唆するか、利下げ時期にどう影響するかを検証する週となりそうですが、日経平均はボリンジャーバンド+2σに沿った動きが期待できそうです。


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Friday, June 28, 2024

[2023/06/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

627日、NYDowNASADQは上昇しました。628日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付くと、午前中は120円高から390円高の間で上下し、午後は280円高から70円高の間で上下して、結局、210円高で取引を終えました。日経平均の終値は241円高の39583円で、出来高は17.19億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

627米国市場では、5月の個人消費支出(PCE)物価指数の発表や大統領候補による討論会を翌日に控えて様子見ムードが強まるなか、長期金利の低下が追い風となり、ハイテク株に買いが集まりました。出遅れ感のある銘柄も物色されました。ただ、業績見通しが慎重と受け止められたマイクロン・テクノロジーの大幅下落を受け、半導体株には売りが波及しました。結局、NYDowは小幅に続伸し、NASDAQ3日続伸しました。

628日の日本市場では、国内長期金利の上昇を受けて銀行株が買われました。また、外国為替市場の円安ドル高進行を受け、自動車株が買われました。米マイクロン・テクノロジーの下落は既に織り込み済みとして、半導体関連株にも買いが集まりました。もっとも、期末とあって持ち高調整の売りも出やすく、午後の指数は伸び悩みました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+13.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+10.1%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.2ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2450円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.0ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1980円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.13と前日より低下し、VIX12.24と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.26ポイント(日経平均換算で98010円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率1.4%増で、改定値の1.3%増を上回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

5月の耐久財受注、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、624 5.6021% 625 5.6010% 626 5.5961%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.72PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.1%で、こちらは3か月前より10.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は340円から290円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-830円から+30円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.26ポイントから3.27ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

628日の米国市場では、5月の個人所得・個人消費支出や、5月のPCE価格指数のほか、カーマックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを30円ほど上回り、下値は想定ラインを410円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ-100円(現在39830円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在38980円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、かなり弱まりました。日経平均は反発しました。引き続き、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きを期待してもよさそうです。



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Thursday, June 27, 2024

[2023/06/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

626日、NYDowNASADQは上昇しました。627日の日経平均先物は、前日比280円安で寄り付くと、午前中は200円安から430円安の間で上下し、午後は410円安から210円安と下落幅を縮めて、結局、210円安で取引を終えました。日経平均の終値は325円安の39341円で、出来高は16.28億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を8日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

626米国市場では、アナリストが評価を引き上げたアマゾンやアップルが買われ、指数を支えました。一方で、長期金利の上昇は株価の重石となりました。5月のPCE価格指数の発表や大統領候補によるTV討論会を週内に控え、様子見ムードも強まりました。結局、NYDowは小幅に反発し、NASDAQは続伸しました。

627日の日本市場では、足元の株高の反動で、短期的な過熱感を意識した利益確定の売りが優勢となりました。また、円安が急速に進行していることを受け、日銀が早期に金融政策正常化に踏み切るとの観測が強まり、投資家心理の重石となりました。時間外取引で米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジーが売られたことも、半導体関連株の重石となりました。日経平均は4日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+12.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+9.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2680円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+4.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1730円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.18と前日より低下し、VIX12.55と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.31ポイント(日経平均換算で97930円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.6%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、621 5.6061% 624 5.6021% 625 5.6010%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.56PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.2%で、こちらは3か月前より10.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均は30円の割高から340円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-830円から+30円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.25ポイントから3.26ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

627日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP確報値、5月の耐久財受注、5月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ナイキ、マコーミック、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを350円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在39650円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在39010円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。一方、信用の売り圧力は強まりました。きょうの日経平均は反落しました。まだ、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きを期待してもよさそうです。



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Wednesday, June 26, 2024

[2023/06/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

625日、NYDowは下落し、NASADQは上昇しました。626日の日経平均先物は、前日比170円高で寄り付くと、午前中は50円高から590円高と上昇幅を拡げ、午後は640円高から470円高の間でもみあって、結局、470円高で取引を終えました。日経平均の終値は493円高の39667円で、出来高は15.77億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を7日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

625米国市場では、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回ったことから、米景気の減速が意識され、主力株の一部に売りが出ました。複数のFRB高官が講演で利下げを急がない姿勢を示したことも重石となりました。一方、このところ下げが目立っていたエヌビディアなど半導体株をはじめ、ハイテク株には買いが向かいました。結局、NYDow6営業日ぶりに反落し、NASDAQ4営業日ぶりに反発しました。

626日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて値がさの半導体関連株が買われ、相場を押し上げました。米長期金利が落ち着きを見せていることや、為替の円安基調も支えとなりました。ただ、短期的な過熱感から利益確定の売りも出て、午後は上値の重い展開となりました。日経平均は3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+14.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+10.5%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.4ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2140円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+5.4ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2140円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.69と前日より低下し、VIX12.84と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.2と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.21ポイント(日経平均換算で95930円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.6%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、620 5.6090% 621 5.6061% 624 5.6021%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.81PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より-0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より11.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は630円の割安から30円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-830円から+30円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.24ポイントから3.25ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

626日の米国市場では、5月の新築住宅販売件数のほか、マイクロン・テクノロジーやゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを50円ほど上回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ(現在39740円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在39180円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は続伸し、611日に付けた高値(39337円)を大きく上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きが期待できそうです。



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