日経平均の予想: [2011/03/30]日経平均の今後の見通し

Wednesday, March 30, 2011

[2011/03/30]日経平均の今後の見通し

[市況]
29日のNYDowとNASDAQは上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付き、午前中は10円安ま下げる場面もあったものの120円高まで上昇する動きでした。午後も一段高となり、最終的に230円高で取引を終わりました。日経平均は249円高で引け、出来高は31.0億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、60万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関してはやや「買い」が有利な状況です。
29日の米国市場では、午前中は1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数が大幅低下したものの予想の範囲内だったことや、週末に発表予定の3月の米雇用統計など重要な経済指標を見極めたいとのムードが強く、前日終値近辺でもみ合う場面が目立ちました。しかし、午後に中東・北アフリカの政情混乱懸念などを背景に原油が上昇するに連れてエネルギー株が買われ、株価指数を押し上げました。
30の日本市場では、米国市場高や米地区連銀の総裁が金融緩和策の出口について言及したことを材料に円安となったことを好感した買いが先行しました。午後も円がドルやユーロなど対主要通貨で一段安の展開になり、生産・営業活動の復旧に向けた動きを材料視した買いや、輸出採算の改善を期待した買いで日経平均は大幅に上昇しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-9.4%とマイナス幅は縮まりました。200日線との乖離率は-1.1%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上に在りますが、25日線、200日線の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が11.8ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 1.7ポイント縮まりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.2ポイント割安となっています。
市場は現在、「東日本巨大地震災害」、「中東/北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.1%でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、2月の個人消費支出、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月のISM非製造業景況感指数、2月の既存店売上高、2月のISM製造業景況感指数、などは市場予想を上回りましたが、2月の耐久財受注、1月の小売売上高は予想以下となりました。2月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が192000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.0%から8.9%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新し、2月の中古住宅販売件数は、前月比9.6%減と予想以下となり、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、市場予測も下回わりました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-3.1%と1年ぶりの大幅低下となりました。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は03月25日 0.3075% → 03月28日 0.3070% → 03月29日 0.3070%となり低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は29日、上昇しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.45ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.6、PBRが1.15、ROEが7.8%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.8%となり、日経平均は480円の割安で、割安幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-750円 ~ -470円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いています。今日は弱い動きが縮小しました。
米国市場は、中期揉み合いで、短期は上昇トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は揉み合いです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.25%と拡がり、為替は円安方向となっています。一方、米国市場は堅調な動きが続いています。今夜の米国市場は、3月のADP雇用統計などの経済指標が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日本市場は原発の安定冷却と放射能汚染の拡大懸念と電力供給問題は気になるものの、米地区連銀の総裁が金融緩和策の出口に言及したことで大幅な円安となったことに反応し、予想に反して上昇しました。ただ、日経平均はいずれ、震災の企業業績に与える影響やGDP低下懸念も問題となり、二番底を探る動きとなりそうです。市場の次の関心事は雇用統計の内容に移ると思われますが、予想外の改善とならなければ、目先は200日線の9820円あたりに頭を押さえられそうです。


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