日経平均の予想: [2011/03/18]日経平均の今後の見通し

Friday, March 18, 2011

[2011/03/18]日経平均の今後の見通し

[市況]
17日のNYDowとNASDAQは上昇しました。18日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付き、午前中は一時260円高まで上げ幅を拡大する動きとなりました。午後も堅調に推移しましたが、引けにかけて下げ、最終的に200円高で取引を終わりました。日経平均は244円高で引け、出来高は33.2億株と高水準ながら減少しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、2530万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関してはやや「買い」が有利な状況です。
17日の米国市場では、福島第1原子力発電所で使用済み核燃料の冷却を目的とした放水活動が進み、警戒感がやや和らぎました。最近の大幅下落の反動に加え、同日発表の3月のフィラデルフィア連銀景気指数が43.4と前月比で7.5ポイント改善し、市場予想の30程度を上回り、支援材料となりました。
18日の日本市場では、政府・日銀が円売り・ドル買い介入を実施しとことで、朝方に79円台前半だった円相場は81円台後半まで下落し、超円高に対する懸念後退を手掛かりにした買いが幅広い銘柄に入りました。また、福島第1原子力発電所の事故について、連日で放水が実施され、新たなトラブルが特に伝わっていないことも買い安心感に繋がりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-28.1%とマイナス幅が縮まりました200日線との乖離率は-6.3%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が12.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 1.8ポイント縮まりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「東日本巨大地震災害」、「中東/北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.2%増加しましたが、市場予想以下でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月のISM非製造業景況感指数、2月の既存店売上高、2月のISM製造業景況感指数、などは市場予想を上回りましたが、1月の小売売上高、12月の耐久財受注は予想以下となりました。2月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が192000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.0%から8.9%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、1月の中古住宅販売件数は市場予想に反して増加し、1月の住宅着工件数が前月から大幅増となりましたが、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、1月の新築一戸建て住宅販売件数は前月比12.6%減り、市場予測も下回わりました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-2.38%と予想内であったもののマイナスでした。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は03月15日 0.3090% → 03月16日 0.3090% → 03月17日 0.3090%となり低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は17日、上昇しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.45ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.0、PBRが1.10、ROEが7.8%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-7.7%となり、日経平均は790円の割安で、割安幅が拡がりました。プレミアム値は、ここ一週間、-2430円 ~ -470円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いています。今日は円安の割にはあまり上昇せず、弱い動きが拡大しました。
米国市場は、中期横ばいで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルには割高です。短期的には、福島原発問題、地震被害の影響、為替の変化の動きに左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、福島原発問題の安定、円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が前提条件として必要と思われます。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.05%と拡がり、為替は急激に円安となりました。一方、米国市場でも、日本の原発問題の落ち着きと経済指標の好転で戻しました。今夜の米国市場は、重要な経済指標の発表は無さそうですので個別材料が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日本市場は為替の乱高下と原発情勢変化に連れて株価も乱高下しました。為替は一旦、円高への流れが止まりました。しかし、依然として、福島第一原発問題に安心感が出ないと本格的戻りは望み薄と思われます。目先は、福島原発関連ニュースに左右されそうですが米国市場の動きに影響される相場にも徐々に戻りそうです。ただ、戻す動きが強まった場合でも10000円前後が強い抵抗ラインとなりそうです。


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