日経平均の予想: [2011/03/24]日経平均の今後の見通し

Thursday, March 24, 2011

[2011/03/24]日経平均の今後の見通し

[市況]
23日のNYDowとNASDAQは上昇しました。24日の日経平均先物は、前日比10円高で寄り付き、午前中は50円高まで上げた後は売りが優勢な展開でした。午後も軟調な推移となり、最終的に30円安で取引を終わりました。日経平均は14円安で引け、出来高は32.9億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、960万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関してはやや「買い」が有利な状況です。
23日の米国市場では、午前発表の2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新したことや、福島原発やリビアの状況を見極めたいとの雰囲気も残り、午前は売りに押される場面が目立ちましたが、震災復興が進めばアルミニウムなどの素材需給が世界的に引き締まるとの見方から、アルコアや3Mなどの素材株が上昇したことで、株価指数は反発しました。
24日の日本市場では、朝方は米国市場の上昇を好感した買いも入ったものの、福島原発で発生した事故の状況を見極めたいとの雰囲気も残り、買い見送り気分が強く、前日終値を挟んでの小動きが続きました。輸出関連株が売られた反面、商品価格の上昇を受けて鉱業や商社株が買われたほか、低位の建設株の一角も買われました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は-19.8%とマイナス幅が縮まりました200日線との乖離率は-3.9%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上に在りますが、25日線、200日線の下に在ります。
NYDowは、200日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が12.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 0.6ポイント拡がりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.4ポイント割安となっています。
市場は現在、「東日本巨大地震災害」、「中東/北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.2%増加しましたが、市場予想以下でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月のISM非製造業景況感指数、2月の既存店売上高、2月のISM製造業景況感指数、などは市場予想を上回りましたが、1月の小売売上高、12月の耐久財受注は予想以下となりました。2月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が192000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.0%から8.9%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新し、2月の中古住宅販売件数は、前月比9.6%減と予想以下となり、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、市場予測も下回わりました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-2.38%と予想内であったもののマイナスでした。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は03月21日 0.3090% → 03月22日 0.3090% → 03月23日 0.3080%となり低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は23日、下落しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.40ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.4、PBRが1.13、ROEが7.8%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-6.0%となり、日経平均は610円の割安で、割安幅が拡がりました。プレミアム値は、ここ一週間、-910円 ~ -430円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いています。今日は弱い動きが強まりました。
米国市場は、中期揉み合いで、短期も揉み合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は揉み合いです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。短期的には、福島原発問題、地震災害の日本経済への影響、米国市場や為替の動きに左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、福島原発問題の安定、円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が前提条件として必要と思われます。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.15%と拡がったものの、為替は方向感なくもみ合いとなっています。一方、米国市場は復興需要期待で上昇しました。今夜の米国市場は、新規失業保険申請件数、2月の耐久財受注などの経済指標が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日本市場は原発問題と放射能汚染の拡大懸念が足かせとなっています。また、為替には膠着感がでてきましたので、再度の円高への流れが懸念されます。米国市場の動きは改善しつつありますが、日経平均は放射能汚染問題の広がりや震災の企業業績に与える懸念も問題となり、戻す動きから二番底を探る動きに変わりそうです。その場合、9000円近辺が次の目安となりそうです。ただ、震災復興関連銘柄の強い動きが下支えとなることも考えられますので目先は揉み合う展開となる可能性が高そうです。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。
右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら=>世界の市場のリアルチャート

注目銘柄、日経平均チャートについてはYS総合研究所HPも参考にしてください。