[市況]
24日のNYDowとNASDAQは上昇しました。25日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付き、午前中は160円高まで上げた後は売りが優勢な展開でした。午後も軟調な推移となり30円高まで上げ幅を縮める場面がありましたが、最終的に100円高で取引を終わりました。日経平均は101円高で引け、出来高は31.5億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1010万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関してはやや「買い」が有利な状況です。
24日の米国市場では、朝方に原油相場が下げに転じ、個人消費の抑制要因が後退したことや、週間の新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、雇用の改善基調が確認できたことで、買い安心感が出て、NYDowの上げ幅は一時100ドルを超えました。一方、2月の耐久財受注額が市場予想に反して減少したことや、日本の原発事故や北アフリカ・中東情勢が、上値を抑えました。
25日の日本市場では、米国市場高で投資家心理がやや好転し、コマツなど主力株の一部が買われました。後場は官房長官が福島第1原発から半径20~30キロメートル圏内の区域について、「避難準備を加速する必要がある」と述べたことがきっかけとなり、伸び悩む場面もありましたが、大引け前に「停止中の東電の東扇島火力発電所が明日にも復旧の可能性」と伝わると、日経平均は再び買われて終了しました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-16.2%とマイナス幅が縮まりました200日線との乖離率は-2.9%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上に在りますが、25日線、200日線の下に在ります。
NYDowは、200日線、9日線の上に在り、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、9日線の上に在り、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が13.1ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 0.5ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.2ポイント割安となっています。
市場は現在、「東日本巨大地震災害」、「中東/北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.2%増加しましたが、市場予想以下でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月のISM非製造業景況感指数、2月の既存店売上高、2月のISM製造業景況感指数、などは市場予想を上回りましたが、2月の耐久財受注、1月の小売売上高は予想以下となりました。2月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が192000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.0%から8.9%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新し、2月の中古住宅販売件数は、前月比9.6%減と予想以下となり、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、市場予測も下回わりました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-2.38%と予想内であったもののマイナスでした。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は03月22日 0.3090% → 03月23日 0.3080% → 03月24日 0.3085%となり低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は24日、上昇しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.43ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.5、PBRが1.13、ROEが7.8%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.4%となり、日経平均は540円の割安で、割安幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-860円 ~ -430円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いています。今日は弱い動きが改善しました。
米国市場は、中期揉み合いで、短期は上昇トレンドとなりました。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は揉み合いです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。短期的には、福島原発問題、地震災害の日本経済への影響、米国市場や為替の動きに左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、福島原発問題の安定、円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が前提条件として必要と思われます。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.19%と拡がったものの、為替は方向感なくもみ合いとなっています。一方、米国市場は原油高一服と雇用改善期待で上昇しました。今夜の米国市場は、10-12月GDP統計確定値、3月のミシガン大学消費者信頼感指数などの経済指標が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日本市場は原発と放射能汚染の拡大懸念と電力供給問題に一喜一憂しています。また、為替には膠着感がでて煮つまりありますので、そろそろ動きだしそうです。米国市場の動きは改善しつつありますが、日経平均は震災の企業業績に与える懸念も問題となり、戻す動きから二番底を探る動きに変わりそうです。その場合、9000円近辺が次の目安となりそうです。ただ、震災復興関連銘柄の強い動きが下支えとなることも考えられますので目先は揉み合う展開が続きそうです。
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