[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、週半ばまで主要企業の10-12月決算がまちまちで一進一退でしたが、週末にエジプトの反政府デモが中東諸国に広がるとの懸念が浮上し大幅に下落しました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念と、先進国の緊縮財政と新興国の利上げによる景気後退懸念が、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性は残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.6ポイント割高となりました。米企業の増益予想でPERが低下し割高に転換しました。その要因はS&P500のPERが12.2で、東証1部平均のPERの16.8との差と日米金利差によるものです。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、中東の反政府デモの拡大状況をにらみながら、昨年10-12月期の企業決算発表や経済指標の発表内容と商品相場の推移が株式相場に影響しそうでが、調整含みとなりそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は75%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.4%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.2%~2.1%とやや縮まり、為替は83から81円台とやや円高方向の動きでした。今週も81から83円台が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 1月3週は買い越しで1月4週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と企業決算や中東情勢の動きが影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、7.1ポイント割安となり、先週比1.5ポイント割安幅が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+4.9%となり先週と比較してプラス幅が拡がりました。総合乖離率は+7.8%となりプラス幅が拡がりました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線の下に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は、先週末のエジプト反政府デモの影響で下落しました。さらに、欧州財政問題の再燃、新興国の利上げ、などのリスクが意識されやすい面も存在します。一方、好材料としては、10-12月決算が概ね好調でS&P500の今期予想PERが12.2まで低下し、新たな、上昇余地も出てきた面もあります。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドですが、短期トレンドが、NYDowに黄信号が、NASDAQに赤信号が点灯しました。日本市場は中期上昇トレンドを維持しているものの短期は下降トレンド入りとなりました。目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、昨年10月以来、米長期金利が上昇し、日米金利差も拡大してきましたが、ここにきて一服しており、やや円高方向の動きになっており、日本市場の伸び悩み要因となっています。
今週の米国市場では、1月のISM製造・非製造業景気指数、バーナンキFRB議長講演、1月の雇用統計の発表や主要企業の決算発表が注目されそうでが、中東の地政学リスクがどの程度影響するかが注目点となりそうです。一方、先週の日経平均はS&Pによる8年ぶりの日本国債格下げで軟調な展開となりました。ここ数ヶ月買いに回っていた外人に変化も見られます。今週の日経平均は、中東の地政学リスクも加わり軟調な地合いを引き継ぐ動きとなりそうですが、外人の動きとボリンジャーバンドの-2σ(10225円近辺))の割り込み度合いに注目したいと思います。
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