[市況]
27日のNYDowとNASDAQは上昇しました。28日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付き、前場は120円安まで値を下げる動きとなりました。後場に150円安まで下げた後はやや戻し、最終的に110円安で取引を終わりました。日経平均は118円安で引け、出来高は21.1億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、810万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
27日の米国市場では、キャタピラーが発表した10~12月期決算の内容や業績見通しが市場予想を大幅に上回ったことで、キャタピラー株やユナイテッド・テクノロジーズが上昇しました。一方、決算が大幅減益となったP&Gや売上高が市場予想を下回ったAT&Tがともに下落し、NYDowの重荷となりました。また、12月の耐久財受注額は前月比で市場予想に反して減少しましたが、相場の反応は目立ちませんでした。
28日の日本市場では、朝方は、円安を好感した輸出関連の一角に買いが入ったことで、一時プラスとなったものの、S&Pによる8年ぶりの日本国債格下げを受けて、金融株を中心に全面安の展開となりました。昼休みにSGX先物が1万310円まで急落したことで、後場入り後も下げ幅を広げ、25日線を下回る格好で取引を終えました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+7.8%とプラス幅が縮まりました200日線との乖離率は+4.9%とプラス幅は縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在り、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が10.0ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.7ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.3ポイント割安となりました。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融緩和の効果」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。10-12月期の主要企業の決算発表内容はバラツキがあるものの概ね好調です。経済指標では、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のISM非製造業景況感指数、12月のISM製造業景況感指数、12月のフィラデルフィア連銀景気指数、11月の鉱工業生産指数、12月のニューヨーク連銀景気指数、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者態度指数などは市場予想を上回りましたが、12月の耐久財受注は予想以下となりました。12月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が103000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.8%から9.4%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売は予想以上でしたが、12月の米住宅着工件数は予想以下でした。また、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-1.6%と1年ぶりの大幅なマイナスになりました。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向ですが、雇用と住宅関連は停滞ぎみです。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は1月25日 0.3044% → 01月26日 0.3044% → 01月27日 0.3044%と低水準横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は27日、上昇しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.83ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.3、PBRが1.21、ROEが7.4%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%となり、日経平均は290円の割安で、割安幅は拡がりました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円 ~ -130円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は拡大しました。
米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドですが、短期は下降トレンドとなりました。日経平均は中長期的にテクニカルには米国市場に比べて割安ですが、ファンダメンタルでも割安になってきました。短期的には、為替の変化、欧州財政問題、米経済指標と企業決算の発表、中国市場の動向に左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で横ばいで、欧州財政問題が金融不安に発展する気配は見えません。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.18%とやや縮小し、円高気味に推移しました。一方、米国市場ではこのところ雇用や住宅関連では停滞を示す中、企業業績はまだら模様で、NYDowの堅調な動きに水を差す動きも出ていますが、景気関連は予想以上の改善が続いていており支援材料となっています。今夜の米国市場は、10-12月期GDP、10-12月個人消費などの経済指標の発表や、シェブロン、フォード、ベリサインなどの決算発表が注目されそうです。
今日も外人は売り越しの可能性が高く、日経平均は下落しました。米国市場に比べて弱さが目立ちます。ここからも、米企業の決算発表と為替に加え、外人投資家の動向が鍵となりそうです。当面サプライズを伴う環境の変化は無さそうですので、目先は日経平均も米国市場の手詰まり感に連れて方向感に乏しい展開が続きそうですが、外人主導の先物売りで、米国市場と比べた割安感も大きくなりましたので、早晩ゆり戻しがありそうです。
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