[市況]
19日のNYDowとNASDAQは下落しました。20日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付き、前場は60円安から140円安までの範囲で値を下げる動きでした。後場は、低水準で小動きな動きとなり、最終的に130円安で取引を終わりました。日経平均は119円安で引け、出来高は20.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、70万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮まりました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
19日の米国市場では、ゴールドマン・サックスの2010年10-12月期決算が、主力の投資銀行部門の低迷が響いて純利益が前年同期比で半減したことで、金融機関の事業環境の回復の鈍さが意識され、他の銀行株にも売りが波及しました。また、朝方発表の10年12月の米住宅着工件数が52万9000戸と、前月比で4.3%減少し、市場予想の55万戸を下回り、悪材料となりました。
20日の日本市場では、米市場が反落した流れや、円高ぎみの為替、中国の主要経済統計の発表を受けたアジア株が軟調に推移したことが重荷にとなりました。相場の過熱感が強いなか、利益確定売りが広がりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は+10.8%とプラス幅が縮まりました200日線との乖離率は+5.4%とプラス幅は縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅0.5ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ1.0ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融緩和の効果」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調との見通しですが金融機関の業績に懸念が出てきました。経済指標では、12月のISM非製造業景況感指数、12月のISM製造業景況感指数、12月のフィラデルフィア連銀景気指数、11月の鉱工業生産指数、12月のニューヨーク連銀景気指数、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者態度指数などは市場予想を上回りましたが、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、などは予想以下となりました。12月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が103000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.8%から9.4%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、11月の米住宅着工件数が3ヶ月ぶりに増加するなど予想以上でしたが、12月の米住宅着工件数は予想以下でした。また、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で9ヶ月ぶりにマイナスに転じました。9月以降の経済指標は改善傾向ですが、直近の雇用と住宅関連は停滞しています。
ギリシャ、アイルランドを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続されていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は01月17日 0.3031% → 01月18日 0.3031% → 01月19日 0.3031%と比較的低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は19日、下落しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.76ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.4、PBRが1.22、ROEが7.4%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均は50円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-70円 ~ +120円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べてやや弱い動きに変わりました。
米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドの中にあります。一方、日経平均も短・中期上昇トレンドです。日経平均は中長期的にはテクニカルにもファンダメンタルにも米国市場に比べて割安ですので、この修正が続いて行くものと思われます。短期的には、為替の変化、欧州財政問題、米経済指標と企業決算の発表、中国市場の動向に左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要です。LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配はありません。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.15%とやや拡大したものの、円高ぎみの動きが続いています。一方、米国市場はこのところ雇用や住宅関連では停滞を示す中、景気関連は昨年9月以降予想以上の経済指標の発表が続いてきました。しかし、ここにきて銀行の業績悪化が見え始めてきました。今夜の米国市場は、週間の新規失業保険申請件数、12月の中古住宅販売件数やグーグル、モルガン・スタンレーの決算発表が注目されそうです。
日経平均はアジア株安と円高進行で大きく下げました。ここからも、米企業の決算発表と為替に影響される相場となりそうです。ここにきて、米企業の決算内容に懸念も生まれてきましたので、日本市場の懸念要因が増えました。FRBの金融緩和が続いていますので、米市場の大きな下げは考えにくいものの、ひと息いれそうな気配です。円高が続けば、日経平均はNYDowより弱い動きが続きそうです。
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