[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、好調な経済指標の発表があったものの、中国の利上げと高値警戒感が頭を抑え、年末の閑散相場も影響し、膠着した展開でした。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念と、先進国の緊縮財政と新興国の利上げによる景気後退懸念が、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は米長期金利の上昇もあり、日本市場が1.4ポイント割安となっています。その要因はS&P500のPERが15.5で、日経平均のPERの16.0との差と日米金利差によるものです。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+3.0%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週の米国市場の週足は十字線となりました。今週も、欧州の財政不安や経済指標の発表内容と長期金利と為替の推移が相場に影響しそうです。2011年度相場入りになり、動きが戻ってくることが予想されます。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は75%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.4%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.1%~2.3%と横ばいで推移し、為替は82から80円台と円高方向の動きでした。今週も80から82円台が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 12月4週は買い越しで12月5週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち③が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と経済指標発表が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、9.4ポイント割安となり、先週比0.3ポイント割安幅が拡がりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+3.1%となり先週と比較してプラス幅が縮まりました。総合乖離率は+7.9%となりプラス幅が縮まりました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線の下に在りますので、短期的には"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は短期、中期とも上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドですが、短期が横ばいとなりました。EUの財政問題が再燃してユーロ安が進んでいるもののLIBORのドル3ヶ月物金利は横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準で、今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、12月に入ってからは米長期金利が上昇し、日米金利差は拡大方向ですが、先週は、円高方向の動きになっており、2週連続で日本市場の低迷要因でした。米国市場は、インフレ期待からの長期金利の上昇と好調な年末商戦、経済指標の改善が支援材料となり、上昇局面が9月から続いてきました。一方、欧州財政問題の再燃、新興国の利上げ、米国の財政懸念などのリスクが意識されやすい局面への変化も存在します。今週の米国市場は、ISM 製造業景気指数、ISM 非製造業景気指数、12月の雇用統計、バーナンキFRB議長の議会証言などが注目されそうです。一方、日経平均は目先、円高や、裁定買残と騰落レシオの高さから高値警戒感が有り、利食い売りが出やすい状況は続いています。また米国市場も上値が重く、今週の日経平均はマイナス材料が多い状況が続きそうですが、日米の長期金利差が拡大方向ですので、ユーロが反転すれば円安に戻りやすい状況であることが、プラス材料となり得る要素と思われます。
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