[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、欧州財政問題の落ち着きと好調な企業決算期待で堅調に推移しました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念と、先進国の緊縮財政と新興国の利上げによる景気後退懸念が、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性は残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日米長期金利差の拡大もあり、日本市場が1.1ポイント割安となっています。その要因はS&P500のPERが15.5で、東証1部平均のPERの17.0との差と日米金利差によるものです。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週の米国市場の週足は陽線となりました。今週は、昨年10-12月期の企業決算発表や経済指標の発表内容と商品相場の推移が株式相場に影響しそうでが、堅調な展開が続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は75%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.4%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.2%~2.1%とやや縮まり、為替は83から82円台とやや円高方向の動きでした。今週も81から83円台が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 1月1週は買い越しで1月2週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①⑤が強気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と企業決算や経済指標発表が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、9.4ポイント割安となり、先週比2.1ポイント割安幅が拡がりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+6.0%となり先週と比較してプラス幅が縮まりました。総合乖離率は+13.6%となりプラス幅が縮まりました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は、インフレ期待からの長期金利の上昇と、経済指標の改善、好決算期待が支援材料となり、上昇局面が続いています。一方、欧州財政問題の再燃、新興国の利上げ、米国の財政懸念などのリスクが意識されやすい面も存在します。テクニカルな面を見ると、米国市場は短期・中期とも上昇トレンドです。日本市場も短期・中期とも上昇トレンドです。目先の状況を分析すると、EUの財政問題が再燃してユーロ安が進んだもののLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、昨年10月以来、米長期金利が上昇し、日米金利差は拡大してきましたが、先週は一服し、やや円高方向の動きになっており、日本市場の伸び悩み要因でした。
今週の米国市場は、12月の住宅着工件数、12月の鉱工業生産、12月の消費者物価、12月の小売売上高の発表や主要企業の決算発表が注目されそうでが、引き続き、好決算期待が支援材料となりそうです。一方、先週の日経平均は米国市場高で上昇する場面もあったものの、円高ぎみの為替が、頭を抑える展開でした。今週の日経平均は、米市場高に連動して上昇基調が続きそうですが、雇用統計発表以来、為替がやや円高に振れていますので、この傾向が変わらないと、米国市場よりは弱い動きが続きそうです。
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