[市況]
1日の、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。2日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付きました。前場は徐々に下落する展開となりました。後場初めには20円高まで上げ幅を縮めた後に戻し、最終的に110円高で終わりました。日経平均は135円高で引け、出来高は15.8億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、810万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
1日の米国市場では、ISMが発表した8月の製造業景況感指数は56.3と前月から上昇し、市場予想の52.5を上回っりました。事前の警戒感が強かったため、指標の改善は売り方の買い戻しを誘いました。月初で、資金が市場に流入しやすいことも相場上昇につながったようです。ただ、朝方に発表された8月のADP全米雇用リポートは、市場予想に反して前月比で減少し、3日に発表される雇用統計への警戒感が意識される場面もありました。
2日の日本市場では、世界的な景気減速懸念後退を期待して、朝方は買い先行となりましたが、円安反転の動きは限定的で、予想された先物の買い戻しの動きも見られず、買い一巡後は伸び悩む展開となりました。週末の米国雇用統計や国内政局動向も影響し、商いは手控えられました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。総合乖離率は-17.1%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-10.3%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。中期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.7ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.4ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調でしたが、7-9月期は鈍化するとの見方が出てきました。経済指標では、消費者信頼感指数が3ヶ月ぶりに改善し、8月のISM製造業景況感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、7月の耐久財受注、7月の景気先行指数、8月のニューヨーク連銀景気指数、7月の既存店売上高、は予想以下となりました。7月の失業率は9.5%と変わらないものの、雇用者数が事前予想以下となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数が市場予想を大きく下回りました。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.3%で予想を上回りましたが先月(+0.5%)より伸びは縮まりました。7月の景気指標と住宅関連指標はやや改善しましたが、8月は弱い内容です。中国の景気減速懸念も残っています。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安は落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月30日 0.2969% → 08月31日 0.2956% → 09月01日 0.2956%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回りました。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は1日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.71ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.5、PBRが1.06、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどには上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-80円 ~ +260の間で推移しています。日本市場は、円高ぎみに推移し、ドルベースでは米国市場より弱い動きとなりほぼ均衡しました。日本市場は米国高で円安とならず、伸び悩みました。米国市場は年初来安値を更新することなくリバウンドしましたが、日経平均は昨日安値を更新したことも影響しているようです。今夜の米国市場は、新規失業保険申請件数や 8月のチェーンストア売上高が注目されそうです。米国市場の次の注目点は、今夜の新規失業保険申請件数と3日の雇用統計となりました。為替の方向も含め、米国市場の経済指標の発表内容次第の動きが続きそうです。
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