[市況]
7日のNYDowとNASDAQは下落しました。8日の日経平均先物は、前日比130円安で寄り付きました。前場は徐々に下げる動きとなりました。後場に240円安まで下げた後は下げ渋り、最終的に210円安で終わりました。日経平均は201円安で引け、出来高は14.7億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、220万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
7日の米国市場では、主要な米経済指標の発表がなく、朝方から前週末までの続伸を受けた利益確定目的の売りが優勢でした。7日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙が、欧州銀行監督委員会が7月に実施したストレステストで、一部銀行が国債保有額を完全には開示せず過少申告していたと報じたことで、欧州で銀行株が売られ、つれて米市場でも金融株が下げました。
8日の日本市場では、欧州財政問題への警戒感再燃や、円高の進行で、朝方から嫌気売りが先行しました。寄り前に発表された7月の機械受注は市場コンセンサスを上回ったものの、下支え材料にはつながりませんでした。ただ、週末のメジャーSQを控えていることもあり、9000円割れはとはなりませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変りました。総合乖離率は-17.2%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-10.5%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。
NYDowは、200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に抜けました。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.8ポイントに拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調でしたが、7-9月期は鈍化するとの見方が出ています。経済指標では、消費者信頼感指数が3ヶ月ぶりに改善し、8月のISM製造業景況感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、8月のISM非製造業景況感指数、7月の耐久財受注、7月の景気先行指数、8月のニューヨーク連銀景気指数、7月の既存店売上高、は予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、7月の米仮契約住宅販売指数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数が市場予想を大きく下回りました。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.3%で予想を上回りましたが先月(+0.5%)より伸びは縮まりました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容ですが、9月に入り改善傾向が続いています。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安は落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は09月03日 0.2928% → 09月06日 0.2922% → 09月07日 0.2919%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回りました。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は7日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.83ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.5、PBRが1.07、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は20円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-80円 ~ +130の間で推移しています。日本市場は、ドルベースでは米国市場より弱い動きに転換しました。今日の日本市場は円が8/24の値を更新したことで、弱い動きとなりました。今夜の米国市場は、住宅ローン申請指数や地区連銀経済報告の発表が注目されそうです。米国市場の次の注目点は、200日線を大きく上回れるか否かですが、上回れずに一旦反落しました。日本市場は再び25日線を上回れるか、それとも9/1の安値8796円を下回るかが注目点となりましたが、米国市場の短期上昇トレンドは、まだ崩れていませんので、今のところは、25日線を上回る動きとなる可能性の方が高そうです。
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