[市況]
26日の、NYDowとNASDAQは下落しました。27日の日経平均先物は、前日比80円安で寄り付きました。前場は徐々に値を戻す動きとなりました。後場は前日比プラスとなった後も上昇が続き一時130円高となる場面がありました。最終的に80円高で終わりました。日経平均は84円高で引け、出来高は16.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、620万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
26日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数が前週比で減少し市場予想も下回ったことを受けて、午前中は買いが優勢でしたが、米景気の減速懸念が根強く、27日発表の4-6月期の実質GDP改定値が速報値から大幅に下方修正されることを警戒した売りが優勢となりました。
27日の日本市場では、伸び悩んだ米国市場の地合いを引き継ぎ、朝方は売り先行でした。前場は先行き不透明感から冴えない展開でしたが、昼休み中に、菅首相が円高対策で本日中にも会見と伝わったことで、後場入り後からは、急速な切り返しをみせる動きとなりました。徐々に期待感からの買戻しも優勢となり、為替の円安進行と併せて、大引けにかけて上げ幅を広げました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-21.2%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-11.1%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲を下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.3ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.9ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.23ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調でしたが、7-9月期は鈍化するとの見方が出てきました。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のISM製造・非製造業景況感指数などは市場予想を上回りましたが、7月の耐久財受注、7月の景気先行指数、8月のニューヨーク連銀景気指数、7月の既存店売上高、は予想以下となりました。7月の失業率は9.5%と変わらないものの、雇用者数が事前予想以下となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数が市場予想を大きく下回りました。5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.5%で予想を上回りました。7月の景気指標と住宅関連指標はやや改善しましたが、8月はかなり弱い内容です。中国の景気減速懸念も残っています。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安は落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月24日 0.3075% → 08月25日 0.3038% → 08月26日 0.2994%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回りました。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は26日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.66ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.6、PBRが1.07、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.5%となり、日経平均は130円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-80円 ~ +180の間で推移しています。日本市場は、円安ぎみに推移し、ドルベースでは米国市場より強い動きに転換しました。日本市場は菅首相による円高・景気対策発表期待からリバウンドしました。ただ、短期、中長期ともトレンドは赤信号ですので、まだ楽観は全く出来ません。今夜の米国市場は、4-6月GDP改定値、バーナンキFRB議長講演が注目されそうです。GDP改定値の落ち込みは、ある程度織り込み済みと思われますので、サプライズが無ければ、米国市場もリバウンドする可能性の方が高かそうです。日本市場も、日銀の円高対策期待も残り、円高推移になりにくいことから、週明けは、今日の上昇の反動安は考えられるものの、目先のリバウンドの動きは続きそうです。
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