[市況]
10日の、NYDowとNASDAQは下落しました。11日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付きました。前場はさらに値を下げる展開となりました。後場も小動きながら安値を更新し、最終的に260円安で終わりました。日経平均は258円安で引け、出来高は15.8億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、320万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
10日の米国市場では、中国の景気減速懸念からエネルギー株や素材株に売りが先行しました。アナリストが台湾でパソコン出荷が鈍化していると指摘し、IT関連企業の収益の先行き不透明感が強まりました。NYDowの下げ幅は一時150ドルに迫りました。一方、FOMCでFRBがMBSなどの償還資金を米国債に再投資すると表明すると、緩和的な金融環境が長期化することを好感し、米株式相場は下げ幅を縮小しました。
10日の日本市場では、FRBがFOMCにおいて景気認識を下方修正したことから、ドル安・円高への警戒感が強まりました。輸出関連株を中心に朝方から売りが優勢となり、売り一巡後も先物主導で下げが加速しました。後場に入ると、中国の7月経済統計の結果を受けたアジア株市場全般が上値の重さを示したことも警戒感を誘いました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の下に在り、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。総合乖離率は-16.7%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-8.7%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、25日線、200日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。中期トレンドは青信号から黄信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.2ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.3ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、7月のISM製造・非製造業景況感指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、7月の既存店売上高、7月の連銀景気指数、6月の耐久財受注、7月の消費者信頼感指数、は予想以下となりました。7月の失業率は9.5%と変わらないものの、雇用者数が事前予想以下となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上で、6月の中古住宅販売件数が市場予想ほど減りませんでしたが、6月の住宅着工件数が予想以下となりました。5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.5%で予想を上回りました。7月の景気指標と住宅関連指標はやや改善しましたが、8月はやや弱い内容です。ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安はひとまず落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 08月06日 0.4113% → 08月09日 0.4044% → 08月10日 0.3978%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でMAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は10日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.00ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.7、PBRが1.09、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%となり、日経平均は260円の割安で、割安幅は拡がりました。プレミアム値は、ここ1週間、-270円 ~ -10の間で推移しています。今日も対ユーロで円高が進み、日本市場は米国市場より弱い動きが加速しました。FRBは景気後退を認め、金融緩和策を出し、株価を支えましたが、日銀は景気後退を認めず、金融緩和策を出さず、株価は大幅下落しました。日銀は市場との対話が出来ていません。その結果、日経平均は、25日線を下回りテクニカルな安心感は無くなりました。米国市場も短期、中長期とも黄信号となりました。今夜の米国市場は、住宅ローン申請指数、6月の貿易収支などが注目されそうです。政府や日銀の無策が続けば、円高警戒感は残り、米国市場は楽観的、日本市場は悲観的な状況が続きそうです。
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